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【右丁】
〇二日夜行徳の辺には地上より火燃出たり近くへよりて見れは見へ
す又さきの方に火の燃るを看るのみ《割書:芝森本元町の坊正鈴木与右衛門|もこの夜途中にて土中より火》
《割書:の燃るを見|たりとそ》
〇亜墨利加へ渡りし中濱万次郎は本所江川侯の屋敷内に住た
りしか家潰れかゝり自ら天井を突破りて夫婦とも無事なり
俳画堂記録申 加藤岩十郎殿
〇二日夜地震の時牛込山伏町の辺【邊】にて看し人の噂艮の方に当り
畳二乗 二帖計りと見る火気空中に上たりとそ又この時妻木氏某《割書:何れ|の人》
《割書:か不|詳》厠へ趣れしに牖(マド)の障子のあかきに駭(オトロキ)て明【「開」とあるところ】けて見るに南の
方にてしかも程近きあたりに太さ俗にいふ中竹の位にて数丈
【左丁】
の火気赤く見え鍋つるの如く曲りて折れたるを看たり是
や世にいふ火柱といふ物ならんと思ひ怪しみし折から俄に震出
したるとなん
浅草平右衛門町 村田平右衛門殿話
〇上野御宮の社家にて御連哥師金子主馬《割書:名ハ貞起》隠居して浅草
橋場に栖(スメ)り九月晦日の頃の連哥に「命の際の秋の暮方」とありし
か二日の地震に家潰れて其身并に孫と下女三人終れり
神田小柳町 岡村庄兵衛殿話
〇深川六間堀町家主何某《割書:三谷三九郎|所持地面》俳諧を好て静雨と号しける
か地震の前日或宗匠のもとにて