← 前のページ
ページ 1 / 1
次のページ →
翻刻
《割書:流|行》麻疹やくはらい
▲やアラはしかいな〳〵今度
世上へりうこうのはしか
病ではやりませうおい
しやおかどをながむ
ればむかいの人がまつ
かざりはやくいそいで
薬ばこまだ若水のき
むすめもぞやみ【注①】は一ト二タ
三ヶ日おかめにばらりとまめ
まきや福は内へのおみまいは
いんげん豆におにまめや鶴は
ちとせの御じゆめうとながくのば
したかんひやうにかめにいれたる
水あめもよひ初夢のふじの山
あげれば〆たきぐすりやかごやの
あしもかるやきや七草かゆより白
かいとのどをならづけくすりぐひひだち
かげんのそのとこへふらつきものゝ風の神
さまたげなさんとするならば虎のいせいの
やぶいしやがうさい角【注②】にておさいつけちく
らがおき【注③】へさらり〳〵
【注① 「そやみ」ともいう。天然痘・労咳(ろうがい=肺結核)などの病気の最初の時期をいう。】
【注② 烏犀角(うさいかく)=犀の黒色の角(つの)。漢方だ、子供の解熱剤に用いる。特に疱瘡に唯一の良薬とされた。】
【注③ 「ちくらが沖」=朝鮮と日本との潮境にあたる海。また日本海の海の果てを漠然という。】