翻刻
なりたること奇といふへき前に誤候星の光を失ふと
いふも水気と見へ申候此引出しも水気にてこのふえ
たるならん
小日向茗荷谷え参り候道にて服部坂上のリヤウコウ寺【龍興寺】
と云住主【二字見消し】は老僧七十余なり右和尚前に地震を知りて
弟子僧に申付て庭前え仮に居所を取建候様と申付
に弟子とも院主は年とりてとほけたり此寒にに
庭えすゝみ台様の取建の内に居る事なり候ものには
あらす言語同断の事をいふ出したるものかなとつふや
きなから師僧の云にまかせて縄からけに居所をしつ
らへたり師僧悦ひて十月二日のうちに其所に引込て
いたりけるか案の如く地震にて弟子共はほう〳〵に立ち
出て震止て後院主は如何せしやと仮小屋え行て
見れ快寐の体にて大いひきして臥いたり弟子
僧とも誠におとろきて其よしを問しに地震ある
ことを知りてかくなせりといゝしとなり
______________________
一 大満月無篇 安政山 一
一【梵字】 奉轉読大般若地震平安祈祈処 一
一 小盡月用篇 丙辰年 一
一______________________一
女奉公人の咄し
江戸近郷また余程掛離里数も有之候場所ゟ江戸表
にしるへ有るものは奉公に出し置たるに地震にて死
亦は怪我等いたし親兄弟共に案し候て尋ね来り