翻刻!地震・災害史料

コレクション: NDL地震・火山

朝暾集. [6] - 翻刻

朝暾集. [6] - ページ 43

ページ: 43

翻刻

ても類焼之場所なとにてはつゝか無きやまた死失いたし候や 尋ぬるにいつ方え参候哉なとゝ迷ひ歩行ても所を定めす 全死したるに極ても其なきからの黒焼と成りて是を證 にいたしへくこともわからすあわれなる事共成りけり右なとの 噺を承り候て江戸奉公に出すことは見合たるかたいま迄 勤居ものも暇を取て在方え引込候よしなり天災にて 迚ものかれぬことならは親子兄弟共におなしくいか様にも成へし なと他え出し置てかくの如くなるは残念なりとての事と 承りぬ尤なることなりけり 小石川龍慶橋清水御用人相勤野中鉄太郎と云人有 大地震之節は当番にて留守には惣領某嬬【?】姉下女 家来なとも壱人有小者は弐人もありしや夫迄委細には 聞もはへらす次男九歳次女七歳に相成候よし家潰 て其内に在て早く出しくれ候へと【「早」以下右に追記】兄姉の名を両人共に【右追記】呼家来下女の名を 呼けれとも如何致候哉誰有て答るものも無く夫ゟ隣家の 平日知り居る名を戸【声】を限に呼たれとも是以誰有て聞 付助出さんと申人もなく其内に出火いたし追々火も廻り来て 両人共に南無阿弥陀佛と同音に申迚ものかれぬ事と 兄弟共に火中の炭【45コマによれば「灰」の意か】と成候事承り誠に涙に呉れたる事とも なりき大人ならはいか様に致し候ても被出可申候九歳七歳の 児のいさゝの所なりとても押やふり候事もならす其通り潰 家の内にいきなから火災死失せしこといか成因縁か知らす扨 にくむへきは家内に人無きこと申にもあらす出火いたし候こと なれは取残なとをのれのものを取出さんとはかりに心を