翻刻
もちゐしと風聞にそあり誠に頼みなしきは人心なり
けり只々利に迷ひ人よくます〳〵強くなり行主人
え仕に徳は知らすとも是はおかし是はかなしきと申程
のことは誰いつも心得いることなるに誠に鬼ともいふへき
は是なとなり眼前のよくに迷ひ後年はいか成る
へきや悪むへし〳〵しかし他言はつゝしむきなり
大久保与三郎御使番也【已上四字右に追記】ゟ文通上略旧冬は珎鋪御褒美御座候
新吉原角町をのつちや内舞鶴与申遊女地震に付【以上四字右に追記】御すくひ
小屋え金三十五両手当遣し候由によつて北の御番所
井戸対馬守也呼出右舞鶴え銀二枚被下候此せつ
おひたゞしく客有之おふはやりと申事私存候は
右婦人へ面会のため相越候処両三日前に御をかけ候はゝ
ねは座鋪え出兼候由むなしく帰り候由申聞候是も
珍敷事に御座候
おなしく私最寄中奥御番青山監物与申者旧冬之
地震にて皆潰にに付勤続も相なりかたき処土蔵の
縁の下ゟ古金二千七両掘り出し候由承り及申候尤も先
祖ゟ子孫【以上二字右に追記】相伝譲りしため差置旨之書付かめに入有之
由に御座候誠に地震にて幸を得扨も世間に有之いろ
〳〵のこと有之候ものに御座候
品川御台場会津城主松平肥後守【以上五字右に追記】御預にて防禦の為家来百餘人居申候処【以上「にて」より朱書きで右に追記】地震に付小屋内
ゟ一端
不残出中に【二字朱で見消し】刀を小屋の内に置候て【朱で見消し】出候者拾四五人立帰
再【朱で右に追記】小屋之内に入候処小屋かたむきたり其内【以上「小屋かたむき」より朱書きで右に追記】出火にて何分出る事不能窓ゟ国許えの
品々申し残たる事共遺言等いたし刺(セツ)腹又は差(さし)【ルビ朱書】違ひ