翻刻
やしはしとゝめよせきの里金津の町に来てみれは軒端に余る
白雪は山ともみゆる/上野(ウハノ)か原/往来(ユキク)る人も稀にしてたよりに
事を柿原の茶屋に休みて行ほとに運の浦を詠むれと雪
にうもれて花もなし扨も寒苦の長途の旅に身も/細呂木(ホソロキ)
の宿過て心ほそくもしん谷屋大野にあかり詠むれははや吉
崎も程近し五月始に宿を出て極月四日と申には万死を
のかれて今爰に着しも嬉し扨も世は苦しきものと夕
煙まづうち寄て物かたり尽せぬ物は遠近の人のよしあし
を難波につけておもひ合すへしと拙き心の筆のすさひ
子孫のために書置ものなり
于時享保二丁酉年任強望令書写之遣者也
此主長氏之子欲及広覧者也予六月廿日
書終之畢
加州江沼郡 大聖寺泉小路児玉正信