翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

海陸世話日記 - 翻刻

海陸世話日記 - ページ 92

ページ: 92

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問ふに彼者共かいふやうはされは社/弁才(ベサイ)船は出羽の平沢へ /馳上(ハセアケ)中物船がふらまて一つもなく本庄の宿に路銭かりて替〳〵 のほられたるといふ又組舟は出羽の内より所々にて痛みしを/繕(ツクロ) ひつくろひ上りしに越後の/新潟(ニ井ガタ)の川口へはせあけ中物みな流れてから 船にて二艘共にやう〳〵此程上られたりと語るこれを聞より はつと思ひ其まゝ食もすゝますあら口惜や今まては彼 船共を/助(タスケ)にしていかなる事をもしつらひてまたむかしの世に なさむと社思ひしにまことに/弓折矢尽(ユミヲレヤ ツク)るわか仕合人の見聞も 恥かしくと暫く物をそいはす思ひ返して我か身も若し またよき兄弟も有家来共も多けれはいかなる思案も廻し 二親も/慰(ナグサ)めん物をと我と心を取直し其夜は雪中の草臥に 前後もししらす臥けるか翌日は又北風にて大/雪吹(フヽキ)也宿いひ けるは今日は下方へは思ひもよらす魚うり共も皆逗留なり明日 風止て行給へといふいや〳〵片時も宿へ帰りたしといふて装束 をなして行ほとに古郷にも定めて我を松本や/久末(スエヒサ)とをく なかむれは風に吹雪の烈しさは川瀬も見えぬ舟橋をうち渡り つゝゆく程に笠にも雪をもり田の宿石もる里の人ならは何と いふ共かたからんさむき/雪吹(フヽキ)の身をせめて行さきとをき長崎