翻刻
【右丁】
本邦九州の偏南薩摩国山川の港より南北相去ること四度
偏西 度許に在て山川湊より那覇港に至て海上百五十
六里海路四日程其国気候暖多寒少し氷凍なく雪霜希に
降り四時断熱冬日雨霰降るのみ故草花の属皆吊凋枯せず
耕作は秋耕とは九十月冬種とは十十一月を云其気候春
の如し春耘とは翌春なり夏収とは五月穫収なり其跡へ
直に麦を蒔年内に苅畢り六月に至れは大風作り海雨横
飛度々ありて果実を落す故に収ること早くすれば患なし
六月より九月までは農業を営まず農具は大抵日本製を
用ゆ《割書:此国に産する鉄生鈍く|して用るに堪されば也》
【左丁】
産物は六穀共に備る《割書:中山山北の地は水多くして田土粳|稲に宜しく山南地方は陸田多くし》
《割書:て菽麦の|属に宜し》粳稲六月熟す薩人の所謂琉球米その品最も下品
なりと云番薯各地各島にあり土人常に■【糧ヵモ】とす芭蕉戸毎
に種て蕉布を織て男女冬夏の服用とす羅漢杉《割書:此方の|槙を云》多
く産す屋を造る柱とす《割書:奇界に生する|を良好とす》油樹あり油を搾る
甘蔗多し砂糖を製す鳩十二月来り燕七月に至り鷹九月
の頃東北風に外嶋より来る雁偶々来ることあり鶴希に見
ることあり牛皮梅実を結す《割書:古は無し|今あり》貝類数種あり海松《割書:海中》
《割書:に生す磯|松といふ》海馬《割書:海中に出馬首魚身にして|此を得こと難し得は則王に進む》螺蛤の属《割書:奇|品》
《割書:甚多|し》を産す又蛟龍時々海中に見れ出て風雨を致す絶て