東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: 学校教材発掘プロジェクト 1

伊勢物語 - 翻刻

伊勢物語 - ページ 5

ページ: 5

翻刻

【右丁】 時はやよひつのいたち。あめそぼぶるにやりける 《割書:古今》おきもせずねもせでよるをあかしては春の物とて詠(ながめ)くらしつ ㊂むかし。男。有けり。けさうじける。女の許(もと)に。ひじきもといふ物をやるとて  おもひあらばむぐらの宿にねもしなんひじき物には袖(そて)をしつゝも 二条の后(きさき)の。まだみかどにも。つかうまつり給はで。たゞ人にてをはしける。時の事也 ㊃昔。ひんがしの五条に。おほきさいのみや。おはしましける。西のたいにす む人有けり。それをほいにはあらで。心ざしふかゝりける人。行とふらひける をむ月の十日ばかりの程に。外にかくれにける。有所はきけど。人の行か よふべき所にも。あらざりければ。なをうしと。思ひつゝなん有ける。又の年 のむ月に。梅の花ざかりに。こぞをこひて。いきて立て見。ゐて見。みれど 。こぞににるべくもあらず。うちなきて。あばらなるいたじきに。月のかたふく までふせりて。こそをおもひ出てよめる 《割書:古今》月やあらぬ春やむかしの春ならぬわか身ひとつはもとの身にして 【左丁 挿絵】