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漂民御覧之記
寛政五癸丑年九月十八日吹上之御物見にをいて去る天明二
壬寅年十二月十三日勢州白子を出船致其夜は駿州沖にて
俄に大風吹出所々漂着致し同三癸卯年七月廿日/魯西亜(ヲロシヤ)の
属国(ゾクシマ)アミシツカと言地に漂着致し夫ゟカムサツカオホツカ
イルカウツカ抔と言地を径暦し欧羅巴(ヨウロハ)洲成る魯西亜国の
都え出女帝え見(まみ)えて径暦の許しを請去年九月三日蝦夷のコモロ
と云地迄彼の国の船にて送り帰されたる神昌丸之船頭大黒屋
幸太夫同磯吉と申水主成る者 上覧被遊御物見の正面には
御簾を掛け御透見被遊候様に御座を設(もうけ)て右之方御入側には
松平越中守加納遠江守平岡美濃守高井主膳正列座其前に
張出しを構えには御小納戸頭取亀井駿河守小野河内守多記