翻刻
うす雲(くも)の後(のち)の世にいたるまで身(み)は中流(りう)
の船にひとしくてくだの帆足(ほあし)をかけつ
はづしつ客(きやく)の機嫌(きげん)をとりかぢおもかぢ
地色(ぢいろ)の暴風(はやて)にそらされて終(つい)には密夫(まぶ)
のふかみにはまりておのが身(み)をはたす事
しばらく也 是(これ)を思へば板(いた)子 一枚上(いちまひうへ)の住居(すまゐ)
凡 蒲団(ふとん)三ツの上(うへ)のくらしもおなじ道理(どうり)
にこそあれ花(はな)はさかりの仲(なか)の町(てう)月(つき)は隈(くま)
なき茶屋が二階にのみ見るものかは色(いろし)