翻刻
客(きやく)のもの思ひにうちしほれたるすがた
を見ては心のくもりに泪(なみだ)の雨(あめ)を催(もよほ)すなどさ
ながら月花(つきはな)の詠(ながめ)にやまさるべきされば紅粉(かうふん)
におもてを粧(よそほ)ひ錦繍(きんしう)にすがたをかざり
琴棋書画(きんぎしよぐわ)に心(こゝろ)をゆだねてヲスザンスの
里(さと)なまり雲(うん)上に高(たか)くして甚(はなはだ)世事に
疎(うと)し常(つね)に伴新(ばんしん)の言(こと)を守(まも)りて魂胆(こんたん)手
くだのかけひきをおぼへ内 所(しよ)やりての
気兼(きかね)気(き)つかひ茶屋に宿(やど)のつけとゞけ