翻刻
仮令(たとひ)ゆもじははづず【ママ】とも傍輩(ほうばひ)の義理(ぎり)は
たゞしく昼(ひる)見世の座(ざ)は乱(みだ)るゝとも交(つきあひ)の
礼(れい)をみださず四時(しいじ)の苦労(くらう)十年の辛抱(しんぼう)
やりてがしかる言(ことば)に似(に)て実(じつ)にあまくちの
事にあらずそも〳〵大 堤(てい)羽織(はおり)と俱(とも)に
ながく又 客(きやく)の鼻毛(はなげ)に似(に)たり鼻 唄(うた)うたふ
日 和下駄(よりげた)の音(おと)は按摩(あんま)の笛(ふゑ)をあらそひ
宙(ちう)を飛(と)ばす𫅋(よつで)駕籠(かご)は田町を上つて
より寛(ゆるやか)なり茶屋が床机(せうぎ)に物あんじ