翻刻
発し今帰仁にそ着きにける折節大将久高は今
帰仁城に在りしか暮に及んて本艦に還りけれ
は西来院等は尚寧の旨を伝へ只管罪を謝す然
れとも心事測り難けれは久高は大慈寺の僧龍
雲市来織部村尾笑栖等をして之に応対せしめ
且伝へしめて曰西来院長老江洲栄真は那覇に
還るへし又名護按司は留りて織部の舟に乗る
へしと是の日副将増宗等は今帰仁城を攻む城
兵旗幟を望みて遁走す水軍は廿九日払暁運天
港を発し陸軍は四月一日を以上岸す本島の山
岳頗る崎嶇島人は険を恃みて備を設けす然れ
とも或は伏兵のあらんことを畏れ到る所火を放
ち山を赭にして進む時に若那は久米村の城に
拠りて拒戦す薩軍攻て之を抜く若那遁れて首
里に走る小松助四郎追撃して之を捕縛す斯く
て水軍は那覇湾より上陸し浦添城を火攻にし
龍福寺を焼立て水陸の軍勢南北より討入り進
んて大平橋外に迫り首里城を囲む尚寧は越来
親方を将とし宗徒の軍兵百余人を発して防き
戦ひ或は伏を設けて薩軍の過るを要撃す薩軍