翻刻
畑(ばた)をしたて其(その)間(あひだ)〳〵に桑(くは)をうゑ春子(はるご)にても
夏子(なつご)にても飼(か)ひそのくはを切(きり)とれば茶(ちや)のき
げんもよろしそのあと秋芽(あきめ)出(いで)てまた明年(あくるとし)
のかり桑(くは)となるなり茶(ちや)の益(えき)も大(おほき)なるもの也(なり)
桑畑(くはばた)も空地(くうち)多(おほ)き所(ところ)は桑(くは)を植(うゝ)るか利(り)多(おほ)く
茶(ちや)ばかりにても十年(じうねん)も経(ふ)れば一反四五十両(いつたんしごじうりやう)
の利(り)はおこすべしその茶(ちや)の中(なか)にて桑(くは)をと
り養蚕(かひこ)をなす時(とき)はこれも一反(いつたん)の桑(くは)にて十(じう)
五両廿両(ごりやうにじうりやう)の糸(いと)をとるやうになるものなり
一 茶(ちや)を撒く蒔(まく)には長(なか)く南北(みなみきた)にうねを立(たつ)る方(かた)耕作(くわうさく)
に手(て)かゝらずよろしさるは長(なか)く縄(なは)をひき巾(はゝ)壱(いつ)
尺(しやく)ばかりに深(ふか)さ壱寸(いつすん)ばかりも土(つち)をほり上(あ)げ其(その)
下(した)をよくふみならし肥(こやし)を十分(じうぶん)に引(ひき)おき茶(ちや)の
実(み)のよきを外皮(ほとがは)をとりつぶにしてまんべんなく
此(この)みぞに蒔(ま)き実(み)と実(み)の間(あひた)三四寸(さんしすん)づゝおきなら
しまた多(おほ)くまきおきはえたるのちきげんあし
きをばぬき去(さ)りてもよし其上(そのうへ)に土(つち)をかけうね
をたて又(また)その上(うへ)はごもくにても木(き)の葉(は)にても
おほひおき三尺(さんじやく)か四尺(ししやく)へだてゝまたうねを堀(ほり)
まきいくすぢも右(みぎ)のとほりに長(なが)まきになして