翻刻
此間(このあひだ)に通例(つうれい)の耕作(くわうさく)をすべし茶(ちや)の木(き)はびこる
まではこの間(あひだ)にて相応(さうおう)の作物(さくもつ)のとるゝものなり
耕作(くわうさく)すれば草(くさ)もはえず自然(しぜん)茶(ちや)にもこやし
とゞくなり其茶(そのちや)のうねの中(なか)壱間(いつけん)おきぐらゐ
に桑(くは)を一本(いつほん)づゝうゑおき夏(なつ)のころより取(とり)〳〵
するときは株(かぶ)ふとりて三四年(さんよねん)めには四五本(しごほん)づゝ
新芽(しんめ)出(いで)て七八尺(しちはちしやく)にも延(のふ)るものゆゑ葉(は)もあつく
やはらかにて蚕(かひこ)やしなふに第一(だいいち)なり
一 桑(くは)のとり木(き)は丸葉(まるは)の厚(あつ)き桑(くは)よしきれたるは
かぢの葉(は)のごときははやくしほれて蚕(かひこ)のくい
のこすゆゑすたるなり。糸性(いとしやう)もよわし丸葉(まるは)にて
葉面(はおもて)かゞみのやうに青(あを)く光(ひかり)あるがよし唐(から)にて
魯桑(ろさう)またこなたにて男桑(をとこくは)といふ木(き)なりきり
たての葉(は)をたび〳〵食(くは)するときはきれ葉(は)もか
はらねど何(いづ)れ朝桑(あさくは)を切(きり)て其夜(そのよ)までもくは
するものゆゑつよき葉(は)利(り)多(おほ)しとり木(き)は桑(くは)をやし
きか畑(はた)の中(なか)にうゑおき桑(くは)の枝(えた)の芽(め)四五分(しごふ)出(いで)
たるとき其枝(そのえだ)を四方(しはう)へねかし木(き)のえた図(づ)
のごとく木(き)を逆(さか)にさしてとめおきあるひは
石(いし)をもとにおきてもよしそのふせ枝(えた)に土(つち)を