翻刻
一さし木(き)は入梅(つゆ)のころ桑(くは)のめを切(きり)て養蚕(かひこ)なし
しあとのえだを長短(なかみしか)のきらひなく捨(すて)おかずすぐ
にさし木(き)にすべし一本(いつほん)〳〵七八寸(しちはつすん)に切(きり)土(つち)にさすは
却(かへつ)て悪(あし)し図(づ)のごとく畑地(はたち)を巾(はゝ)三四尺(さんししやく)に
丈(たけ)は地面次第(じめんしだい)に土(つち)を三寸(さんずん)ばかりすきあげ
下(した)にこやしどぶどろにても十分(じうぶん)にしきおき
左右(さいう)に高(たか)さ四五寸(しごすん)巾(はゞ)四寸(しすん)ぐらゐに赤土(あかつち)を
長(なか)くもりそれに枝(えだ)のもとのかたをふせさし
に向前(もかふまへ)やりちがひに成(なる)やうにさすがよし赤(あか)
土(つち)をしつみかため中(なか)のひらきところ桑(くは)の枝(えた)
のねさせてある上にすきあげし土(つち)をこまかにして
三寸(さんずん)ばかりたひらかにならしはしめは上(うへ)より水(みづ)を
よくかけ後々(のち〳〵)はうすこやしを土(つち)のかわかぬやうに
おほくうちおくべしさすれば芽(め)の上(うへ)に成(なり)し所(ところ)
は立芽(たちめ)となりめの下(した)に成(なり)し所(ところ)より根(ね)出(いづ)るもの成り
此芽(このめ)よくのばして二三尺(にさんしやく)にもなりたるを堀(ほり)出(いだ)し
しもく【撞木】苗(なへ)にして畑(はた)へうつすことはふせ木(き)も同(おな)し
枝(えた)ざしにするに切(きり)て五六寸(ごろくすん)なるをさすにはねの
かたを赤土(あかつち)の玉(たま)にさして畑地(はたち)に埋(うづ)めおくなれど
ふせさしのかた後々(のち〳〵)も真直(まつすぐ)に立木(たちき)と成(なり)て宜(よろ)し
【図】
木やりちがひ
向ねもと