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コレクション: コレクション3

種痘辨 - 翻刻

種痘辨 - ページ 4

ページ: 4

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【右頁】 斑痕(かわのあと)の色も亦薄(またうすへ)して真痘の如く鋸歯様(のこきりのはのよう)の紋理(すじ)なく且凹瘢(そのうへみつちや)を貽(のこ)す事(こと)なし 殊(こと)に主証(おものうかて)とするは真痘(まことのほうそう)に在(あり)ては病熱(ほとり)三日/見熱(でそろい)三日/起膿(はづうみ)三日/濃膿(ほんうみ)三日と 次序正(はこびたゞ)しくして十二日の後収靨(のちかせ)に及(およ)ぶ者/也便令(なりたとい)いかほどかるきものたりとも 第九(くゝのち)日/迄(まで)は必(かな)らず一顆(ひとつ)も収靨(かせ)に及(およ)ぶ事(こと)なし又/偽痘(ぎとう)に於(おい)ては序熱(ほとり)一日/見(でそ) 熱(ろい)一日/起脹(みづうみ)一日/濃膿(ほんうみ)一日なるが故(ゆへ)に第五日(いつかめ)にして収靨(かせ)に到(いた)るものなりまた 偶序熱(たま〳〵ほとり)の間(あいた)二三日/或濃膿(あるいはほんうみ)の間(あいだ)二三日にして旦譫語(そのうへうきこと)搐搦腫脹(ひきつけ じばれ)する者(もの)あり といへども第九日迄(こゝのはまで)には必(かなら)ず収靨(かせ)に及(およ)びて尚死(なをし)する者はまれにもなる又一千 人中には第九日(こゝのかつ)にいたりてかせに及(およ)ぶ者(もの)あれども真痘(まことのほうそう)あらざるしるしには一日の 間に全身悉(そうみこと〳〵)くかせる者(もの)なりしかし遺毒深(たいとくふか)きを以(もつ)て其血液腐敗(そのちくさる)に及(およひ)て柴(むよ) 黒色(さゝきいろ)の偽痘(ぎとう)を発(はつ)する事あり是等(これら)は其死生(そのしせい)はかり難(がた)しといへども万中の 【左頁】 一人にして実(じつ)に稀(まれ)なる事也又偽痘(ことなりまたぎとう)は■(きさ)に真痘(しんとう)を患(うりよ)ふる者(もの)も未(いま)だ患(うれ)へざる 者(もの)にも拘(かゝ)はらず生涯(せうがい)に一二度も患ふる事あり且其種類(かつそのるい)も数種(かず)ある が故(ゆへ)に其性(そのしよう)によりて三四度も患ふる事屡々(しば〳〵)是(こ)れあり然(しか)るに無識(むしき、こゝろべなし)の 医師是(いしやこれ)を誤(あやま)り認(したゝ)めて真痘(しんとう)といへば世人も亦此/言(こと)を信(しん)じて其症(そのしよう)の軽(かる) きを悦(よろこ)ぶといへども後(のち)日真痘(しんとう)の発(はつ)する時臍(ときせゝてこ)を喧(か)むの憂(うれへ)あるべし又/種痘(しゆとう) の後(のち)に発(はつ)するを見ては種痘(しゆとう)は益(ゑき)なしと思(おも)へる者あり豈悲(あにかな)しまざるべけん哉(や)    余意(よい) 偽痘(ぎとう)は今時(そのたび)の如(ごと)く多(おふ)く真痘(しんとう)と同時(いなじとき)に流行(りうこう)するを以て彼無識(かのむしき)の医師(いし) 漫(みだり)に真痘(しんとう)と認(したゝ)めて種痘(しゆとう)の切験(しるし)なきと言(いひ)ひなに故其浮説(ゆへそのうわさ)世上に流(ろ) 伝(でん)して世人/倍(ます〳〵)く是(これ)を信(しん)ずる者多(お)ふして往々(おれこれ)余(よ、われ)に診察(しんさつ)を請(こ、たのむ)ふものある