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なにゆへかよにかすならぬ身ひとつを
うしともおもひかなしともきくとのみおほし
けるまゝにかきもとちめ給はぬやうにてをしつゝみ
ていたし給ひつ少将は人〳〵ものかたりしてとき
〳〵さふらふにかゝるみす【御簾】のまへはたつきなき【注①】
心ちし侍をいまよりはよすか【注②】ある心ちしてつね
にまいるへしないけ【注③】なとゆるされぬへきとしこ
ろのしるしあらはれ侍る心ちなんし侍るなとけ
しきはみ【注④】をきていてたまひぬいとゝしく【注⑤】心よ
からぬ御けしきはみをきていて給ひぬいとゝし
【注① たづきなし=恰好がつかない。】
【注② よすが=縁。】
【注③ ないげ(内外)=出入りすること。】
【注④ 気色ばむ=気持ちが外に現れる。】
【注⑤ いとどしく=その上さらに】