翻刻
除(のぞ)く薬方(やくほう)を請(こひ)てよし邪熱(ぢやねつ)だに去(さ)れば発(で)る麻疹(はしか)も軽(かろ)く
発(いでる)にも滞(とゞこう)らず遅々(ちゝ)せざれば病苦(びやうく)浅(あさ)く苦痛(くつう)深からねば
体(たい)も疲(つか)れず体健(たいすこやか)なれば本 復(ふく)もはやし
・此病(このやまひ)を感(うけ)たる初(はじめ)は悪寒(さむけ)頭痛(づゝう)咳歎(せき)胸(むね)つかへ身(み)の熱強(ねつつよ)く其(その)
容体(ようだい)外邪(ぐわいじや)の重(おもき)に似(に)て所謂(いわゆる)傷寒(しやうかん)かと思(おも)ふやうなりかくの
如(ごと)くならは必 風湿(ふうしつ)【左ルビ・シツケ】を避(さく)べし
・但し綿入小袖(わたいれこそで)を重(かさ)ね紙帳(しちやう)にかくれ屏風(びやうぶ)を立廻(たてまわ)しなどせんは
厭(いと)ふに過(すぎ)て身屈(みくつ)してよろしからず
・房事(ばうし)を忌(いむ)男女同臥(なんによどうぐは)あるべからず婬慾(いんよく)の念(ねん)熾盛(さかん)なれば行
ふに異ならず酒もわろし熱(ねつ)を増(まし)苦(くる)しみ多(おほ)し禁忌(きんき)の食類(しよくるい)
を遠ざけ渇しても冷(ひや)水を飲(のむ)まじき也内を温(あたゝ)め補(おきの)ふ薬(くすり)を用べし
さて其病(そのやまひ)に軽重(かるいおもひ)あり中分なるは五六日にて発病(でそろひ)十二日を経
て落痂(かせ)余(よ)熱残らず心身(しんしん)清くとなるべし是(これ)疱瘡(ほうさう)に異る
事なし出揃(でそろひ)たるか出そろはざるかは熱 気(き)にてしるべしまた
出揃へは必(かならず)苦悩(くのう)去(さ)る・病中食事せざるは愁(うれう)にたらず平生好の
物とて和し難(がた)き品などを勧(すゝ)め食事を強(しい)るは甚(はなはだ)はろし又 吐(はく)