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十二 修羅(しゆらの)大鼓(たいこ) 十三 霊場(れいぢやうの)熱閙(にきはひ) 十四 仇家(きうかの)恩人(おんじん)
巻之五 上冊
十五 孤雁(こがんの)禍福(くわふく) 十六 名画(めいぐわの)奇特(きどく) 十七 雪渓(せつけいの)非熊(ひゆう)
十八 花柳(くわりうの)□(さや)当(あて)
同 下冊
十九 刀剣(たうけんの)稲妻(いなづま) 二十 積善(しやくぜんの)余慶(よけい)
以上
通計二十回
総目録終
昔話(むかしがたり)稲妻(いなづま)表紙(ひうし)巻之一
江戸 山東京伝編
一 遺恨(いこん)の草履(ざうり)
今(いま)は昔(むかし)人皇(にんわう)百三代。後花園院(ごはなぞのゝいん)の御宇(きよう)。長禄(ちやうろく)年中(ねんぢう)。足利(あしかゞ)義政(よしまさ)公(こう)の時代(じだい)。
雲州(うんしう)尼子(あまこ)の一族(いちぞく)に。大和(やまと)の国(くに)を領(りやう)す。佐々木(さゝき)判官(はんぐわん)貞国(さだくに)といふ人ありけり。
兄弟(きやうだい)二人の男子(なんし)をもてり。兄(あに)は桂之助(かつらのすけ)国知(くにとも)といひて。今年(ことし)二十五才なり。
弟(おとゝ)は花形丸(はなかたまる)とて十二才なり。兄(あに)は先妻(せんさい)の子(こ)弟(おとゝ)は後妻(かうさひ)の蜘手(くもで)の方(かた)といふに
出生(しゆつしよう)したる子(こ)なり桂之助(かつらのすけ)の伯父(おぢ)に蔵人(くらんど)貞親(さたちか)といふ人あり是(これ)則(すなはち)判官(はんぐわん)
貞国(さだくに)の弟(おとゝ)なるゆゑに一万町の分地(ぶんち)を与(あた)へ同国(とうこく)平群(へぐり)に。別館(べつくわん)を造(つく)りて
すゑおきけるが。一人の娘(むすめ)をまうけ。先(さき)だつて夫婦(ふうふ)ともに身(み)まかりけり。その
息女(そくぢよ)容顔(ようがん)美麗(ひれい)なるが。成長(せいちやう)の後(のち)。桂之助(かつらのすけ)の内室(ないしつ)となり。名(な)を銀杏前(いちやうのまへ)