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○徒然草(つれ〴〵ぐさ)に。めなもみといふ草(くさ)。蛇(くちはみ)にさゝれたるによきよしを記(しる)すといへども。
いまだこゝろみず。蛇(へび)にかまれたるには。串柿(くしがき)の肉(にく)を粘飯(そくいひ)のごとくねり
てつくるにしくものなし。度(たび)〳〵こゝろみつるに。一度(ひとたび)もしるしなき事(こと)
なし。よくきざみ煎(せん)じてのみもすべし。蛇毒(じやどく)を解(げ)す也。本文(ほんもん)蛇(くちなわ)の
話(はなし)につきて。偶(ふと)思ひいだせるまゝ。筆(ふで)のついでに記(しる)しおきつ
十四 仇家(きうか)の恩人(おんじん)
爰(こゝ)に又 湯浅(ゆあさ)又平(またへい)といふは。戸佐(とさ)正見(しやうけん)といふ名画人(めいくわじん)の弟子(でし)にて。その身(み)も画(ぐわ)
道(だう)に秀(ひいで)たりといへども。ゆゑありて師(し)の勘当(かんどう)をうけ。そのゝち正見(しやうけん)も小粟(をぐり)
と筆(ふで)のあらそひによりて。勅勘(ちよくかん)の身(み)となりぬ。又平(またへい)は漸(しだい)々に零落(れいらく)しければ。
妹(いもと)藤波(ふぢなみ)白拍子(しらびやうし)となりて。兄(あに)をみつぎけるが。これも不慮(ふりよ)に殺害(せつがい)され。
ます〳〵困窮(こんきう)しければ。せんすべなく夫婦(ふうふ)もろとも。もとのすみかをさり