翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: 模範解答付きコレクション1

昔話稲妻表紙 - 翻刻

昔話稲妻表紙 - ページ 118

ページ: 118

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て。近江(あふみ)の国(くに)にうつり。大津(おほつ)走井(はしりゐ)のほとりに住(すみ)。絵(ゑ)をかきて往来(ゆきゝ)の旅人(たひゞと) にこれをひさく。妹(いもと)が菩提(ぼだい)の為(ため)にもと思ふこゝろより。多分(たぶん)仏像(ぶつゑ)を画(ゑが) きぬ。十三 仏(ぶつ)地蔵菩薩(ぢぞうほさつ)のたぐひなり。そのころは民百姓(たみひやくしやう)の家(いへ)に木仏(もくぶつ)はまれ にて。おほくは此(この)又平(またへい)が仏絵(ぶつゑ)をもとめて。持仏(ぢぶつ)の本尊(ほんぞん)にしけるとかや。仏絵(ふつゑ)のみ にあらず。浮世(うきよ)の人物(しんぶつ)さま〴〵のざれ絵(ゑ)をもかきけるゆゑ。浮世(うきよ)又平(またへい)大津(おほつ)又(また) 平(へい)ともいへり。かれ又 生(うまれ)つきて吃謇(ことどもり)にてありければ。吃謇(ことどもり)の又平ともいへり。 その絵(ゑ)を大津絵(おほつゑ)とも追分絵(おひわけゑ)ともいひて。時(とき)の人(ひと)童(わらはべ)などのめづる事おほ かりしとぞ。又平が妻(つま)の名(な)を小枝(さえだ)といひ。藤波(ふぢなみ)が次(つぎ)の妹(いもと)阿竜(おりう)も。今(いま)は兄(あに) 又平に養(やしなは)れこゝにありて。ひとつに住(すみ)ぬ。藤波(ふぢなみ)は前(さき)つ年(とし)佐々良(さゝら)三八郎が 為(ため)に罪(つみ)なくして殺(ころ)されたれば。又平 何(なに)とぞ三八郎を一太刀(ひとたち)恨(うら)みて。妹(いもと)か修羅(しゆら) の宿恨(しゆくこん)をはらしつかはさんと。日来(ひごろ)こゝろかくるといへども。三八郎 出奔(しゆつぽん)のゝち。 弗(ふつ)にゆくへしれざれは。むなしく月日(つきひ)をおくりぬ。扨(さて)ある年(とし)の春(はる)藤浪(ふぢなみ)が 祥月命日(しやうつきめいにち)にあたれる日(ひ)。妻(つま)小枝(さえだ)妹(いもと)阿竜(おりう)等(ら)がすゝめにより。縣神子(あがたみこ)を やとひ。藤浪(ふぢなみ)が口(くち)をよせて。冥途(めいど)のおとづれをきゝぬさて降巫(みこ)上坐(かみくら)に居(ゐ)なほり て。目うへの人(ひと)にや目下(めした)にや。生口(いきぐち)か死口(しにくち)かとたづぬれば。小枝(さえだ)すゝみいで。目下(めした)の 者(もの)にて死口(しにくち)なりとこたへつゝ。樒(しきみ)の葉(は)にて水(みづ)むけすれば。巫(みこ)はさゝやかなる弓(ゆみ)を とりいだし。弦(つる)を打(うち)ならして。且(まづ)神保(かみおろし)をぞとなへける  夫(それ)つゝしみ敬(うやまひ)てまうし奉る。上(かみ)は梵天(ぼんでん)帝釈(たいしやく)四大天王(しだいてんわう)。下(しも)は閻魔法王(えんまほふわう)。  五道冥官(ごだうのみやうくわん)。天(てん)の神(かみ)。地(ち)の神(かみ)。家(いへ)の内(うち)には井(ゐ)の神(かみ)。竃(かまど)の神(かみ)。伊勢(いせ)の国(くに)  には。天照皇大神宮(てんしやうくわうだいじんぐう)。外宮(げくう)には四十 末社(まつしや)。内宮(ないくう)には八十 末社(まつしや)。雨(あめ)の宮(みや)  風(かぜ)の宮(みや)。月読(つきよみ)日読(ひよみ)の御神(おんかみ)。当国(たうごく)の霊社(れいしや)には。坂本山王大権現(さかもとさんわうだいごんげん)。胆吹(いぶきの)  神社(しんじや)。多賀明神(たがみやうじん)。竹生島弁才天(ちくぶしまべんざいてん)。築摩明神(つくまみやうじん)。田村(たむら)の社(やしろ)。日本(につぽん)六十