翻刻
煙寺の晩鐘のひゝきそれしら川のすさきに
つはさの散乱すは平沙の落雁ともひつへし
さてれうせむの月かけは洞庭のあきのゝ
これにはよもまさらしさてまた漁村の
夕照はつりたれてあけまきにあそふものを
香つくし
六十一種の名香は法降寺東大寺逍遥みよしの
紅塵枯木なか川法華経はなたちはな
やつはし園城寺似たり不二のけむりは
あやめ槃若鷓鴣あを梅楊貴妃とひ梅
たねかしまみをつくし月竜田もみちの賀
斜月白梅千鳥や法華老梅や重かき
花の宴はなの雪名月賀蘭子卓橘はな散里
丹霞はなかたみ上はかをり須磨あかし十五夜
隣家夕時雨たまくら有明雲井くれ
なゐはつせ寒梅ふた葉早梅霜夜たなはた