翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: 模範解答付きコレクション1

昔話稲妻表紙 - 翻刻

昔話稲妻表紙 - ページ 48

ページ: 48

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感(かん)じ玉ひけるにや。満願(まんぐわん)の夜(よ)より。母(はゝ)の病(やまひ)やうやくおこたり。一月(ひとつき)ばかりの うちに全快(ぜんくわい)し。気力(きりよく)かへりて前(まへ)よりもなほ盛(さかん)になりぬ誠(まことに)是(これ)孝行(かう〳〵)の 㓛徳(くとく)大なるるゆゑなりかし ○孝子(かうし)の物語(ものがたり)のついでに記(しる)して。世(よ)の童子(どうじ)にしめすことあり。明心(めいしん)  宝鑑(ほうかん)といふ書(しよ)に。我(われ)親(おや)に孝行(かう〳〵)なれば。子(こ)も又 我(われ)に孝行(かう〳〵)をなす  ものなり。おのれ既(すで)に不孝(ふかう)なれば。子(こ)も又なんぞ孝行(かう〳〵)ならん。われ  孝順(かうじゆん)なれば。又 孝順(かうじゆん)の子(こ)を持(もつ)なり。此(この)事(こと)疑(うたがは)しく思(おも)はゞ。簷(のき)より点々(はつ〳〵)  滴々(てき〳〵)と落(をつ)る雨(あま)しづくを見(み)よ。とく〳〵と落(おつ)るつぼをたがへずといへり。されば  我(われ)父母(ふぼ)の老後(ろうご)を安穏(あんおん)ならしめば。我(われ)も又 老後(ろうご)安穏(あんをん)なること疑(うたがひ)なし ○又 世範(せいはん)といふ書(しよ)におよそ人(ひと)の子としては。身(み)をおわるまてすこしも  父母(ふぼ)の心(こゝろ)にそむかず。孝道(かうたう)をつくすべきなり。父母(ふほ)身(み)まかりてのちも。  其(その)霊(れい)に対(たい)して。存生(ぞんじやう)にいひおかれたることをそむくべからず。  いかほど孝道(かうたう)をつくすとも。おのれが幼少(ようしやう)の時(とき)。父母(ふほ)の愛(あひ)念(ねん)  撫育(ふいく)の恩(おん)をば報(ほうす)ることなりがたし。世間(せけん)の孝道(かうだう)をつくすこと  あたはざるもの。他人(たにん)の小児(しやうに)を育(そだて)あぐるその情愛(じやうあひ)の厚(あつ)きを  見(み)て。父母(ふぼ)の苦労(くろう)を思(おも)はゞ自(おのづから)悟(さと)るべしといへり。古(いにしへ)より孝(かう)を尽(つく)し  て天(てん)のめぐみをかうふり。あるひは立身(りつしん)出世(しゆつせ)して高禄(かうろく)の人(ひと)となり。  或(あるひ)は運(うん)をひらき千金(せんきん)を得(え)富貴(ふうき)の身(み)となりたる例(ためし)。あげてかぞふ  べからず。又 不孝(ふかう)にして天(てん)の罰(ばつ)をかうふり。病苦(びやうく)貧苦(ひんく)をうけ。悪(あく)  獣(じふ)毒虫(どくちう)に害(がい)せられ。雷(らい)にうたれなどして非命(ひめい)に死(し)したる例(ためし)も  又すくなからず。されば幼(いとけなき)ときより。孝道(かうだう)は人倫(じんりん)第一(だいいち)の道(みち)  決定(けつぢやう)の役儀(やくぎ)といふ。道理(だうり)をよく〳〵わきまへて少(す)しも父母(ふぼ)の