翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: 模範解答付きコレクション1

昔話稲妻表紙 - 翻刻

昔話稲妻表紙 - ページ 70

ページ: 70

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昔話(むかしがたり)稲妻(いなつま)表紙(びやうし)巻之三           江戸  山東京伝編    九 辻堂(つちとう)の危難(きなん) かくて山(さん)三郎は。銀杏(いてふ)の前(まへ)をせおひ。生駒山(いこまやま)を越(こへ)て。河内(かはち)の国(くに)におちゆかんと。 東(ひがし)の麓(ふもと)。竹林寺(ちくりんじ)ちかきあたりまで。逃来(にげきた)りけるに。追人(おひて)ども明松(たひまつ)を ふりてらして。近(ちか)々とおひつきければ。姫君(ひめぎみ)にあやまちあらんことを おそれ。傍(かたはら)の辻堂(つぢどう)のうちに。おろしおきて引返(ひきかへ)し。追人(おひて)の大勢(おゝぜい)に向合(むかひあひ)て。 権(しばらく)戦(たゝかひ)けるが。追人(おひて)ども山(さん)三郎が猛(たけき)勢(いきほひ)におそれ。秋(あき)の木(こ)の葉(は)の散(ちる)ごとく。 四方(しはう)に乱(みだ)れて逃去(にげさ)りぬ。山(さん)三郎 今(いま)は心(こゝろ)安(やす)しと。辻堂(つぢどう)にかへりて見 れば。こはいかに銀杏(いてふ)の前(まへ)はおわさず。月(つき)の光(ひか)りによく見れば。堂上(どうしやう)の塵(ちり) のなかに。足(あし)のあとあり。扨(さて)は追人(おひて)どもの計(はかりこと)にて。我(わが)戦(たゝかふ)ひまに。姫君(ひめぎみ)を