Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション3

. Japonais 180-181 - 翻刻

. Japonais 180-181 - ページ 117

ページ: 117

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なり。これを憑(たのむ)とにはあらざれど。終焉(をはり)を潔(いさぎよふ)せんがため。一向(ひたすら)に眼(まなこ)を閉(とぢ)て。 地蔵(ぢさう)の尊号(そんがう)を称(とな)へ居(ゐ)たるより外(ほか)なしと答(こた)ふ。諸官人(しよやくにん)ら重々(ぢう〳〵)のふしぎなれば。 早馬(はやうま)を以(も)て執権(しつけん)に言上(こんぜう)せしかば。往古(いにしへの)盛久(もりひさ)も。清水(きよみつ)大悲(だいひ)の加護(かご)により。 刃(やいは)の下(した)に命(いのち)を助(たすか)る。まづ今日(けふ)の刑罰(けいばつ)を延引(えんいん)して。示現(しげん)のごとく余盗(よとう)を探(さぐ) るべしと下知(げぢ)し給ふ。則(すなはち)其旨(そのむね)を刑所(けいしよ)にて。鑑察使(かんさつし)に伝(つた)ふ。こゝによつて斬罪(ざんざい) 延引(えんにん)のよしを見物(けんぶつ)に触示(ふれしめ)せば。群集(ぐんさん)の見物(けんぶつ)も。正(まさ)しく不惻(ふしぎ)【不測ヵ】を見る処(ところ)な れば。済田(さいだ)か無冤(むじつ)を始(はじ)めて知(し)り。又/地蔵尊(ぢざうそん)の霊験(れいげん)を見て。あつと感(かん) ずる計(はかり)なり。斯(かく)て警固(けいご)の面々(めん〳〵)。済田(さいだ)を召連(めしつれ)評定所(へうでうしよ)へ帰(かへ)る折(をり)から。歩卒(ほそつ) の族(ともがら)。若者(わかもの)一人(ひとり)を。高手小手(たかてこて)にいましめて。時頼(ときより)か前(まへ)に引(ひつ)すへ。兼(かね)ての御下知(ごげぢ) に随(したが)ひ。刑所(けいしよ)の四方(しはう)に徘徊(はいくはい)し。其人(そのひと)あらんを窺(うかゝ)ふ処(ところ)に。此奴(こやつ)顔色(かんしよく)土(つち)の ごとくなりて。群立(むらがりたつ)たる人(ひと)を押分(おしわけ)。息(いき)を切(きつ)て走出(はしりだ)すを。御下知(ごげぢ)の奴(やつ)これなる べしと。馳(はせ)よつて声(こゑ)を掛(かく)れば。我々共(われ〳〵とも)の行装(いでたち)を見て。弥(いよ〳〵)恐懼(けうく)の形容(やうす)にて