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給りて。汝(なんぢ)兼(かね)て信仰(しんかう)する処(ところ)の。地蔵堂(ぢざうだう)を修造(しゆざう)して。衆人(しゆじん)に其(その)霊験(れいげん)の
掲然(いちじるき)をしらすべし。嘉伝次(かでんじ)は重々の恩恵(おんけい)身にあまり。これ全(まつた)く延命(えんめい)尊(そん)の
冥助(めうじよ)なれはとて。堂宇(だうう)の荘厳(さうごん)結構(けつかう)を尽(つく)す。里人(さとひと)はさなきだに。刑所(けいしよ)に
ての不測(ふしぎ)を見聞(みきゝ)のうへ。済田(さいだ)か助命(じよめい)のみならず。北条(ほうてう)の家人(けにん)となりし
を仰(あふ)ぎ。かばかり出世(しゆつせを)なすは。全(まつた)く此尊(このそん)の御蔭(おかげ)なりとて。出世地蔵(しゆつせぢざう)。または済田(さいだ)
地(ぢ)蔵と尊号(そんごう)して日々(ひゞ)群参(ぐんさん)して諸の。所望(のぞむところ)を祈誓(きせい)するに。実(げに)や信(しん)あれば
徳(とく)ありと。其(その)御利益(ごりやく)も多(おほ)かりけり。後(のち)日/密(ひそか)にきけば。此一件(このくたり)皆(みな)時頼が仁慈(じんじ)の
心(こゝろ)より出(いづ)る処(ところ)にして。太刀取(たちとり)の悶絶(もんぜつ)。嘉伝次(かてんじ)の仰告等(おつげとう)の奇謀(はかりこと)によつて。探(さぐ)
り難(かた)き犯人(つみんど)を得(え)たる処(こと)。其/遠計(ゑんけい)俊才(しゆんさい)。凡慮(ほんりよ)の及(をよ)ばざる処(ところ)也と。内々(ない〳〵)
計策(けいさく)を知(し)るものは舌頭(した)を巻(まい)てぞ恐(おそれ)ける
駆込狼藉紀重経隠顕話(かけこみらうぜききのしげつねせいすいのこと)
同十二月廿八日の黄昏(くれとき)。四十/計(ばかり)なる男壱人。何事(なにこと)にや有(あり)けん。大童(おほわらは)となり。