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将軍(しやうぐん)の御所(ごしよ)御台所(おんだいところ)へ走り入(いり)。爰(こゝ)かしこと狼狽(うろたへ)たる有(あり)さまに。又同じ年齢(としごろ)
の者(もの)一人。太刀(たち)抜挿(ぬきかざし)のがすまじと追(おつ)かけ来(きた)り。続(つゞい)て御台所(おんだいどころ)へかけ込(こん)だり。御門(ごもん)
を守(まも)る歩卒(あしがる)ども。こは何者(なにもの)ぞ白刃(はくじん)をもて。御所にかけ入/曲者(くせもの)ども。あれ組伏(くみふせ)
よと悶着(もんちやく)す。折節(おりふし)中門警固(ちうもんけいご)の武士(ぶし)。松田弥三郎常基(まつたやさふらうつねもと)これを見て。
憎(にく)き奴原(やつばら)の動静(ふるまひ)かな。たとへ喧嘩(けんくは)にもあれ科人(とがにん)にもせよ。御所(ごしよ)へ追(おひ)
込(こむ)こそ大胆(だいたん)なれ。理非(りひ)は後日(ごにち)にあるべしと。まづ白刃(はくじん)を持(もち)たる者(もの)にむかひ。
鉄杖(てつでう)を以(もつ)て走(はし)りより。利腕(きゝうで)を丁(でう)と打(うつ)ほどに。持(もち)たる刃(やいは)を取落(とりおと)すを。透(すか)
さず付入(つけい)り諸足(もろあし)かいて引伏(ひつふす)れば。歩卒等(あしかるら)折重(おりかさ)なつて搦(からめ)とる。先(さき)に入(いり)し
男(をとこ)此体(このてい)を見て。身(み)を翻(ひるがへ)して逃出(にけいで)んとするを。弥三郎(やさふらう)飛(とび)かゝり。難(なん)なく
これをもいましめて。直(たゞち)に引(ひい)て評定所(へうでうしよ)に出(いづ)る。時頼(ときより)出座(しゆつざ)ありて。事(こと)の
次第(しだい)を糺問(きつもん)あるに。跡(あと)より追込(おひこん)だる者申やう。某(それがし)は丹後宮津(たんこみやづ)なる。紀(きの)七郎
左衛門/重経(しけつね)が臣(しん)に。藤太春常(とうだはるつね)と申/者(もの)にて候。昨年秋(さくねんあき)重経(しげつね)が所領内(しよれうない)の