Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション3

. Japonais 180-181 - 翻刻

. Japonais 180-181 - ページ 124

ページ: 124

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事なかりしかば。重経(しげつね)益(ます〳〵)時頼が下知(げち)を感佩(かんはい)せり。嗟呼(あゝ)時頼/元(もと)より仁慈(じんじ)ふ かしといへども。法(はふ)によつては依怙(えこ)の沙汰(さた)なく。改(あらたむ)るに及(およ)んでは其人(そのひと)を憎(にく)まず。重経(しげつね)が 不慮(ふりよ)の災(わざはひ)。春常(はるつね)が意外(いぐはい)の失(しつ)を憐(あはれ)みて。斯(かく)は計(ばかり)候ひ給ひければ。諸侯(しよこう)これを 伝聞(でんぶん)して。其(その)仁恵(じんけい)をぞ尊(たふと)みける     野父交争不取財宝話(やふこも〴〵あらさふてざいはうをとらざること) 同年十二月/朔日(ついたち)。執権時頼(しつけんときより)。いさゝか宿願(しゆくぐはん)の事あるにより。従者(じうしや)わづかを将(い)て。 暁(あかつき)を払(はらふ)て出立(いてたち)。江(え)の島(しま)に参詣(さんけい)し給ふ。天(てん)未明(いまだあけざれ)ども。地上(ちしやう)の満霜(まんさう)残月(ざんげつ)の心地(こゝち)し て。馬(うま)の足掻(あがき)を早(はや)め。腰越村(こしごへむら)といふに至(いた)り給ふ。民家(みんか)いまだ門戸(もんこ)を開(ひらか)ず。守(しゆ) 犬(けん)軒下(けんか)に眠(ねぶ)る頃(ころ)。とある農家(のうか)の軒(のき)に物(もの)こそ懸(かゝ)れり。従卒(じうしや)たち寄(より)て 取上(とりあげ)見れば。財布(さいふ)に黄金(くはうきん)三十/斤(れう)を包(つゝ)み。横大路村(よこおほぢむら)傳像(てんざう)と記(しる)したり。 従士(じうしや)此よしを申上れば。時頼/馬(うま)をとゞめてこれを見。子細(しさい)ぞあらん。其軒(そののきの) 主(あるし)を召(め)せと宣(のたま)へば。従士(じうし)畏(かしこま)り馳(はせ)よりて。門(かど)の戸(と)荒々(あら〳〵)と打叩(うちたゝ)き。亭主(あるじ)出(いで)は【「は」は「よ」ヵ】