Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション3

. Japonais 180-181 - 翻刻

. Japonais 180-181 - ページ 130

ページ: 130

翻刻

存(ぞんず)る由(よし)両人(れうにん)等(ひと)しく対(こた)へしかば。時頼(ときより)打合点(うちうなづき)。近士(きんし)に目(もく)して奥(おく)へ納(おさむ)る。 時頼/又(また)傳蔵(でんさう)に向(むか)ひ。汝(なんぢ)我過(わかあやまち)を知(しつ)て。道(みち)を正(たゞ)しく。人欲(しんよく)をさるの心底(しんてい)。 将軍家(せうくんけ)にも感(かん)じ思召(おほしめす)処(ところ)なり。汝(なんぢ)不聞哉(きかずや)。善(せん)は益(ます〳〵)勧(すゝ)め。悪(あく)は愈(いよ〳〵)懲(こら)し むるは。天下第一(てんかたいいち)の則(のり)にして。故泰時(こやすとき)が至教(しきやう)なり。よつて汝(なんぢ)が。無慾(むよく)にして。 道(みち)正(たゞ)しきを感(かん)じ給ひ。御褒美(ごほうび)を下(くだ)し置(おか)る難有(ありがたく)頂戴(てうだい)せよ。夫々(それ〳〵)と下知(けぢ) し給へば。近士(きんし)広蓋(ひろぶた)に彼財巾(かのさいふ)を戴(のせ)て。傳蔵(てんざう)が前(まへ)にさし置(お)く。傳蔵/是(これ) を見て一驚(いつけう)するといへども。改(あらた)め上(かみ)より賜(たまは)る上(うへ)は。違背(いはい)するに道(みち)なく。難有(ありがたく) 拝受(はいじゆ)の旨(むね)を申上る。時頼(ときより)も満足(まんぞく)し。猶又(なほまた)七郎兵衛にむかひ。汝(なんぢ)道路(だうろ)に 捨(すて)たるを拾(ひろ)ひ隠(かく)さず。剰(あまつ)さへ遥々(はる〳〵)尋(たづ)ねて其主(そのぬし)に返(かへ)し。猶(なほ)門戸(もんこ)に置(おき)て も取得(とりえ)ざる。老実(らうしつ)潔白(けつはく)無慾(むよく)。所謂(いはゆる)途(みち)に落(おち)たるを拾(ひろ)はずとは聖賢(せいけん) の教(おしへ)に合(かな)ふ。君(きみ)又(また)これを褒称(はうしやう)し給ひ。肥田(ひた)三十町を永々(ゑい〳〵)下(くだ)し置(おか)るゝ 条(てう)。墨印(こくいん)の御書(ごしよ)を賜(たまは)りければ。七郎兵衛いかで驚天(きやうてん)せざるべき。暫(しば)し