Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション3

. Japonais 180-181 - 翻刻

. Japonais 180-181 - ページ 131

ページ: 131

翻刻

忙然(あきれ)て御請(おうけ)も出(いで)ざりしかは。時頼/重(かさ)ねて呼哉(こや〳〵)々々七郎兵衛。上(かみ)より賜(たまは)る御(ご) 褒賞(はうしやう)。難有(ありがたく)拝領(はいれう)すべし。心得違(こゝろえちがひ)すべからずと。示(しめ)し給へば七郎兵衛。漸(やう)〳〵(〳〵) 御請(おうけ)申上しに。時頼も満面(まんめん)に笑(ゑん)をふくみ。弥(いよ〳〵)両人(れうにん)とも篤実(とくじつ)の行跡(きやうせき)こそ 希(こひねが)ふ処(ところ)なるよしを宣(のたま)へば。両人も感涙(かんるい)とゞめ兼(かね)て御前(ごぜん)を退出(まかで)けり。昔(むか)し 唐土周(もろこしのしう)の文王(ふんわう)のとき。虞(ぐ)といひ芮(ぜい)といへる。隣国(りんごく)の君(きみ)。互(たがひ)に其(その)堺彊(さかひ)を争(あらそ) ふこと年(とし)久(ひさ)し。故(かるがゆへ)に両国君(れうこくのきみ)申/合(あは)せ。文王(ぶんわう)に是非(ぜひ)を受(うく)べしと。馬(うま)を並(なら)べて周(しう) の国(くに)に向(むか)ふ。既(すで)に周(しう)の封彊(さかひ)にいたり見れば。行人(ゆくひと)は道(みち)を傍(かだよ)り。農夫(のうふ)は互い(たがひ)に 田圃(でんほ)を譲(ゆづり)て耕(たがや)す。其村里(そのむらざと)に入(いり)て見れば。若(わか)きは老(おひ)を助(たす)け。男女(なんによ)交(まじはつ)て語(かた) らず。其朝廷(そのてうてい)に入(いり)て見れば。諸士(しよし)は大夫(たいふ)のために礼譲(れいじやう)を厚(あつ)ふし。大夫(たいふ)は又(また) 公卿(くけう)を尊敬(そんけう)す。上(かみ)に仁慈(しんじ)深(ふか)く。下(しも)節義(せつぎ)を厚(あつ)ふす。両国(れうこく)の君(きみ)見る処(ところ) 聞(き)く所(ところ)一ツも争(あらそ)ひ背(そむ)くの志(こゝろざし)なく。其(その)謙譲(けんじやう)を専(もつぱ)らとするを見て。自(をのづ)から 恥(はぢ)て。かゝる純(しぜん)直(ちよく)なる国(くに)に入て。我々(われ〳〵)ごとき小人(せうしん)の領知(れうち)を争(あらさ)ふて【「て」は「こと」ヵ】。いかでか訴訟(そせう)