Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション3

. Japonais 180-181 - 翻刻

. Japonais 180-181 - ページ 134

ページ: 134

翻刻

小(すこし)き内(うち)に繕(つくら)ふことは安(やすふ)して。又(また)費(つひへ)なく而(しか)も大破(たいは)にいたるべからず。小事(せうじ)を顧(かへりみ) ざれば大事(だいじ)となり。障子(しやうじ)こと〴〵く大破(たいは)なさば。全(まつたく)張(はり)かへずんば用(よう)を做(な)さず。 左(さ)あれば其/費(ついへ)多(おほ)くして。綴(つゞる)には十倍(じうばい)の労(らう)あるべし。かるがゆゑ故泰時公(こやすときこう)の 貞永式目(ていゑいしきもく)にも。小破(せうは)のとき修理(しゆり)を加(くは)ふべしと掟(おきて)なし給ふ。天下(てんか)を治(をさ)め。 政事(せいじ)を執(と)るの家(いへ)。古(いにし)へより小破(せうは)を謾(あなど)りて大義(たいぎ)をまねき。驕奢(けうしや)を極(きは)め 人(ひと)をも世(よ)をも憚(はゞから)で。国家(こくかを)失(うしな)ひ天下(てんか)を乱(みだ)す。和漢(わかん)に例(れい)多(おほき)ぞかし。穴賢(あなかしこ) 御身(おんみ)には。時頼(ときより)と別(わき)て親(した)しければ。斯(かゝ)る言(こと)を此(この)尼(あま)が。申せし由(よし)を吃度(きつと)な く。事(こと)の序(ついで)に申させたまへと宣(のたま)へば。義景(よしかげ)も感心(かんしん)のあまり。兎角(とかう)答(こたふ) るに詞(ことば)もなく。諾(いゝ)々としてぞ退(しりぞ)きけるが。早速(さつそく)時頼(ときより)に一々(こま〴〵)落(おち)なく告(つげ)し かば。時頼(ときより)満身(まんしん)に汗(あせ)なしツゝ。席(せき)を改(あら)ため。禅尼(ぜんに)の方(かた)を遥拝(ようはい)し。伝(つた)へ聞(きく) 孟母(まうぼ)は三度(さんど)其居(そのきよ)を替(かへ)て教(おし)へ給ふと。我(われ)に孟子(もうし)の徳(とく)あらねども禅(せん) 尼(に)の一言(いちごん)骨髄(こつずい)に徹(てつ)して。終身忘却(みをおはるまでばうぎやく)なし申さじ。御意(みごころ)易(やす)くまし〳〵給へと