Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション3

. Japonais 180-181 - 翻刻

. Japonais 180-181 - ページ 141

ページ: 141

翻刻

整(とゝの)ひしかば。左(さ)らば先(まづ)時頼(ときより)を刺(さゝ)んと。密(ひそか)に一室(いつしつ)を窺(うかゞ)ふに。経巻(けうくはん)を納(をさ)め調度(ちやうど)を 片寄(かたよせ)。其(その)形容(さま)奇麗(きれい)にして。其人あらず。是(こ)は如何(いか)にと不審(ふしん)なす処(ところ)に。時頼(ときより)過刻(くはこく) 四郎五郎を将(い)て。忍(しの)びて御/館(やかた)に帰(かへ)り給ひしと。しる者(もの)有て告(つげ)しかば。泰村(やすむら)は仰天(ぎやうてん)蹉(あし) 跎(ずり)し。無用(むよう)の長穿鑿(ながせんぎ)に袋(ふくろ)の鼠(ねずみ)。とり逃(にが)したる残念(ざんねん)さよ。已(すで)に其/機密(きみつ)をしら せし上(うへ)は。此侭(このまゝ)には止(やみ)がたし。不如(しかず)運(うん)を天(てん)にまかせ。花々敷(はな〴〵しき)合戦(かつせん)せん。敢(いざ)打立(うちたゝ)んと 鬩(ひしめ)く処(ところ)へ。時頼(ときより)より使節(ししや)として。四郎左衛門/尉(でう)氏信(うじのぶ)入来(じゆらい)のよしを通(つう)ぜしかば。 泰村(やすむら)一族(いちぞく)と評(へう)す。斯(かく)隠謀(ゐんぼう)露顕(ろけん)して。今(いま)打将(うちいで)ん折(をり)からに。何(なに)をか聞ん。何(なに) をかいはん。直(たゞち)に追返(おつかへ)し給ふべし。異議(ゐぎ)に及(およ)ばゝ門出(かどて)の血祭(ちまつり)。渠(かれ)が素頭(すかうべ)を刎(はね) なんと。血気(けつき)の勇(ゆう)に逸(はや)るあれば否々(いな〳〵)近江氏信(あふみうじのぶ)は剛(かう)の者(もの)。ことに打/向(むか)はんの 時(とき)をしり。緩々(ゆう〳〵)として来る者(もの)を。疎略(そりやく)に事を計(はか)らんは。却(かへつ)て不覚(ふかく)の基(もとひ)なり 先(まづ)使旨(かうでう)を聞てのち。臨機応変(りんきをうへんの)計(はからい)かたあるべしと一決(いちけつ)し。則(すなはち)書院(しよゐん)へ通(とう)し。 泰村(やすむら)面会(めんくはい)して使旨(かうでう)を聞(きく)に。氏信(うじのぶ)臆(おく)する気色(けしき)なく。此度(このたび)三浦家(みうらけ)一(いち)