Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション3

. Japonais 180-181 - 翻刻

. Japonais 180-181 - ページ 166

ページ: 166

翻刻

べし公員(きみかず)が。首(くび)の骨(ほね)を箆(の)ぶりに射(ゐ)られ。真倒(まつさかさま)に落(おち)たりけり。立花(たちはな)が郎等(ろうどう)馬(うまの) 五郎/忠賢(たゞかた)。主君(しゆくん)の首(くび)を渡(わた)さじと。走(はせ)よる所(ところ)を。片切(かたぎり)五郎が射下(ゐくだ)す箭(や)に。真(まつ) 甲(かう)ずはと射(ゐ)ぬかれて。嘡(とう)と倒(たふ)れて死(しゝ)たりける。義景(よしかげ)遥(はるか)にこれを見て。憎(につ)くき 両人(れうにん)か挙動(ふるまひ)かな。渠(かれ)射(ゐ)て取(とれ)と下知(げぢ)のした。大曾称(おほそね)左衛門が郎等(らうとう)に八木左右(やぎさう) 七郎といふ。強弓(つよゆみ)の士(さふらひ)。承(うけたまは)ると三束三伏(さんそくみつぶせ)ぎり〳〵と引絞(ひきしほ)り。暫(しば)し固(かた)めて兵(ひやう)と 射(ゐ)るに。小河(をかは)次郎は公員(きんがす)を射落(ゐおと)し。為仕顔(したりがほ)に其処(そこ)立去(たちさら)ず。左右(さゆう)の士卒(しそつ)を下(げ) 知(ぢ)する処(ところ)を。胸板(むないた)ずはと射通(いとをふ)して。余(あま)る矢先(やさき)に後(うしろ)に立(たつ)。川北(かはきた)七郎/腋下(わきした)射込(ゐこま)れ。 倒(たをれ)もやらず両人(れうにん)は。立死(たちしに)にこそ死(しゝ)たるは。心地(こゝち)よくこそ見えにける。後日(ごにち)時頼(ときより)これを 聞(きゝ)て。八木左右(やぎさう)七郎を召(めさ)れ。射術(しやじゆつ)抜群(ばつくん)を称誉(しやうよ)ありて。青銅(あをざし)百貫文を賜(たまは) りけり。去程(さるほど)に秋田(あきた)三浦(みうら)の両軍(れうぐん)入(いり)みだれて。鎬(しのぎ)を削(けづ)り。火花(ひばな)をちらして。 こゝを詮所(せんど)と戦(たゝか)ふほどに。三浦勢(みうらぜい)は不意(ふい)に事起(ことおこ)り。ことに小勢(せうせい)なりといへども。 迚(とて)も逆賊(ぎやくぞく)の名(な)を負(おひ)て。活(いく)べき身(み)ならぬを期(ご)したれば。死(し)を軽(かろ)んじ名(な)を重(おも)んじ