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参(さん)あり。御下向(ごげかう)のゝち。政所(まんどころ)始(はじめ)の御儀式(おんぎしき)。時頼(ときより)重時(しげとき)伺侯(しこう)し。吉書御覧(きつしよごらん)。御/弓(ゆみ)
始等(はじめとう)目出度/相(あい)とゝのひ。御歳(おんとし)十一/歳(さい)にして六代将軍(ろくだいしやうぐん)と仰(あふが)れ給ひ。みな
万成(ばんぜい)を祝(しゆく)しける。後(のち)密(ひそか)に聞(きけ)ば。前々将軍(ぜん〴〵せうぐん)頼経公(よりつねこう)。三浦泰村(みうらやすむら)に託(たく)し給ふ
御/事(こと)ありしより。これを僥(さいはひ)として陰謀(ゐんぼう)を企(くはだ)てし結構(けつこう)。頼嗣卿(よりつぐけう)には更(さら)に是
を。知(しめ)しめすべきにはあらざれど。御実子(ごじつし)の御/事(こと)なれば。諸人(シヨ人)の疑(うたが)ひ逃(のがれ)させ給はず
よつて時頼等(ときよりら)の計(はか)らひとし。無拠(よんどころなく)御譲補(ごじやうほ)にはなりたるとなり。其後(そのご)五月
朔日。将軍家(せうぐんけ)御酒宴(ごしゆゑん)の事まし〳〵。時頼(ときより)重時等(しげときら)をも召(めし)て。倶(とも)に酔(ゑい)を
勧(すゝ)め興(けう)に乗(じよう)ずる折から。時頼(ときより)謹(つゝしん)で。今天下/泰平(たいへい)の徳沢(とくたく)に俗し。
自(おのつ)から武家(ぶけ)花奢(きやしや)を好(この)み。風流(ふうりう)の遊芸(ゆうげい)を嗜(たしみ)て。武辺(ぶへん)の術(じゆつ)を薄(うす)んずる
者あらんか。頗(すこぶ)る比興(ひけう)の挙動(ふるまひ)なり。凡(およそ)武門(ぶもん)に生(うま)るゝ輩(ともがら)。たとへ一日半夜(いちにちはんや)た
りとも忘(わす)るべからざるば弓馬(ぎうば)の道。君(きみ)漸々(やう〳〵)に上覧(せうらん)あつて。其/甲乙(かうをつ)を試(こころ)み
給ひなば。其術(そのじゆつ)錬磨(れんま)の輩(ともがら)は。いか計(ばかり)か難有(ありがた)からん。先(まづ)当座(たうざ)に於(おゐ)て。角力(すもふ)