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の勝負(しやうぶ)を召(めさ)るべきかと申上(まうしあぐ)るに将軍(しやうぐん)にも興(けう)ある事と思召(おぼしめし)。いそぎ仕(つかふまつ)れ
と宣(のたま)へば。則(すなはち)増田五郎(ましだごろう)。仁木新吾(にきしんご)吉田(よしだ)八郎。道守藤太郎(みちもりとうたろう)力量(ちから)に覚(おぼ)
えある輩(ともがら)を召(めさ)れ。相撲(すもふ)六/番(ばん)御覧(ごらん)あり。勝(かち)たる称(しやう)には太刀(たち)時服(じふく)を賜(たまは)り。
負(まけ)たる者(もの)には大盃(おほさかづき)にて酒(さけ)を給ふ。近(ちか)き頃(ころ)には弓馬(きうば)の術(じゆつ)上覧(せうらん)あるべしと
宣(のたま)へば。是(これ)より諸士(しよし)の輩(ともがら)。日夜(ちうや)武芸(ぶげい)を修錬(しうれん)し。遊舞(ゆふぶ)の枝芸(しげい)は捨(すた)れ
つゝ。自然(しぜん)鎌倉(かまくら)風儀(ふうぎ)改(あらた)まりけり
嶋田大蔵(しまたたいさう)対(たい)_二話(けつの)【「話」は「決」ヵ】小次郎(こじろうと)_一話(こと)
建長(けんてう)六年の夏(なつ)北條時頼(ほうてうときより)心願(しんぐはん)の事(こと)あるにより。炎暑(ゑんしよ)ながら江島(ゑのしま)
に参詣(さんけい)まし〳〵。既(すで)に帰路(きろ)に赴(おもむ)き給ふ処(ところ)に年将(としごろ)十五六/歳(さい)の童(わらべ)一人
路傍(ろはう)に蹲踞(うづくまつ)て御行粧(おんげうさう)を拝見(はいけん)して居(ゐ)たりしが時頼(ときより)面前(めんぜん)を過(すき)んと
する折(をり)。突(つ)と起(たつ)て馬前(ばぜん)にする〳〵と進(すゝ)み。執権時頼君(しつけんときよりくん)に言上(ごんしやう)仕(つかまつ)る
事(こと)有(あり)之。暫(しばら)く。御馬(おんうま)を止(とゞ)め下さるべしと申にぞ。近士(きんじゆ)青侍(せいし)ら大(おほに)に叱(しか)り。