Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション3

. Japonais 180-181 - 翻刻

. Japonais 180-181 - ページ 183

ページ: 183

翻刻

執権(しつけん)の辞(おほせ)を俟(まち)ゐたる。時頼(ときより)まづ大蔵(だいざう)の容姿(かたち)を見給ひて。いかに大蔵(だいさう)。汝(なんぢ) 三ヶ/年(ねん)已前(いぜん)。生国(せうこく)但馬(たじま)に於(おゐ)て原田何某(はらだなにがし)が秘蔵(ひざう)の太刀(たち)を掠取(かすめとつ)て 国遠(ちくてん)せしよし。これなる童(わらは)小次郎が訴(うつた)ふ。身(み)に覚(おぼ)えあるならんには。包(つゝ)まず 有状(そのよし)申べしと宣(のたま)ば。此とき大蔵(だいざう)頭(かしら)を挙(あ)げ。何事(なにごと)の御尋(おたづね)にやと存(そん)ぜし に更(さら)に覚語(かくご)せざるゝ処(ところ)也。其上(そのうへ)生国(せうこく)は但馬(たぢま)の者(もの)にも候はず。此奴(こりや)小童(こわつぱ)。 汝(なんぢ)某(それがし)但馬(たぢま)国にて嶌田大蔵(しまだだいざう)といひて。家(いへ)につたふる太刀(たち)を奪(うば)ひたる と申か。小次郎(こじらう)答(こたへ)て。いかにも其状(そのとふり)。大蔵(たいざう)大(おほひ)の眼(まなこ)にて。小次郎(こじろう)を撲(はた)と白眼(にらみ)。 汝(なんぢ)ごとき小童(こわつぱ)に。問答(もんどう)せんは無益(むやく)なれど。公庁(ごぜん)なれば申/聞(きか)す。耳(みゝ) をさらへて能聞(よくきく)べし。某(それがし)生国(せうこく)は若州(わかさ)の産(もの)にて。年(とし)廿才(はたち)より摂津国(つのくに)の 管領家(くはんれいけ)に奉仕(はうし)しありしが。十四ヶ年/以前(いぜん)。子細(わけ)あつて仕官(つかへ)を辞(じ)し。 東国(とうごく)処々(しよ〳〵)を遊覧(ゆふらん)して。当春(たうはる)此地(このち)に来(きた)りて足(あし)をとゞめ。生国(せうこく)にさへ足(あし)を 入ず。いはん哉(や)。但州(たぢま)に於(おゐて)をや。将又(はたまた)。我(われ)いやしくも部門(ぶもん)に生(うま)れし身(み)の。人(ひと)も