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本名(ほんめう)相名乗(あいなのり)。且(かつ)管領家(くはんれいけ)亡命(かけおち)の始末(しまつ)。一々(いち〳〵)符合(ふごう)仕。暗(あん)に旧悪(きうあく)白状(はくぜよ)仕候/上(うへ)は
何卒(なにとぞ)御憐愍(ごれんみん)を以(もつ)て。敵討(かたきうち)御赦免(ごしやめん)下(くだ)され度。尤(もつとも)申/迄(まで)もなく。土百姓(どひやくせう)の私(わたくし)。迚(とて)も
本意(ほんゐ)を達(たつ)すること難(かた)く。此儀(このぎ)は兼(かね)て覚語(かくご)仕(つかまつり)候得ども。一太刀(ひとたち)刃向(はむかひ)候/上(うへ)は。彼(かれ)が
白刃(やいば)の露(つゆ)と成(なり)候とも。更(さら)に遺念(いねん)なき由(よし)。涙(なみだ)と共(とも)に懇願(こんぎはん)するに。大蔵(だいざう)は始(はしめ)の
勢(いきほ)ひには似(に)もやらで。首(かうべ)を低(たれ)て答(こたへ)なし。時頼(ときより)。小次郎に向(むか)ひ。始(はじめ)より子細(しさい)有(あつ)
て。做(こと)のこゝに及(およ)ばん事(こと)をしる。汝(なんぢ)小童(こわらべ)には似気(にげ)なき智謀(ちぼう)の者(もの)なり。追(をつ)
て。双方(さうほう)へ沙汰(さた)あるべしと。当番の士(し)鈴木判官政秀(すゞきはんぐはんまさひで)に大蔵(たいぞう)を預(あづ)け。金(かな)
沢前司氏信(ざはぜんじうじのぶ)に小次郎を託(たく)し其日(そのひ)は各(おの〳〵)退出(たいしゆつ)せり
由比(ゆひ)ヶ(が)浜復讐時頼仁慈話(はまにてかたきうちときよりじんじのこと)
時頼(ときより)は摂津(せつつ)の国(くに)へ早使(はやつかい)を以(もつ)て。国老(こくろう)の輩(ともがら)を鎌倉(かまくら)へ召登(めしのぼ)せ。彦(ひこ)次郎
の始末を尋(たづ)給ふに。小次郎(こじろう)より言上(ごんぜう)のごとく。聊(いさゝか)相違(さうゐ)あらざれば。老臣等(ろうしんら)評(へう)定(でう)の上(うへ)。建長六年(けんてうろくねん)七月二日。由比(ゆひ)が浜(はま)に於(おゐ)て。方壱町(はういつてう)の行馬(やらい)を結(ゆは)せ。