Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション3

. Japonais 180-181 - 翻刻

. Japonais 180-181 - ページ 194

ページ: 194

翻刻

候/得者(へば)。父(ちゝ)母のため。又(また)は亡敵(ばうてき)のため。剃髪染衣(ていはつせんえ)と形(さま)をかへ。諸国(しよこく)を遍(へん) 歴(れき)して。三人の菩提(ぼしだい)を吊(とむら)ひ申/度(たく)旨(むね)答(こた)へしかば。時頼(ときより)うち黙頭(うなづき)。尤(もつとも) なる望(のぞみ)なり。汝(なんぢ)先(さき)に我馬前(わがばぜん)にて。但馬(たじま)の者(もの)なる由(よし)を申といへども。汝(なんぢ) が言語(ものいひ)形姿(ふるまい)を見るに。更(さら)に山谷(さんこく)の者(もの)ならず。此奴(こやつ)子細(しさい)ある者(もの)と思(おも)ひ。 態(わざ)と。汝(なんぢ)が申/随意(まゝ)に計(はか)らひ得(え)させたりしに。果(はた)して先言(せんげん)偽(いつわり)にて。終(つゐ)に縡(こと)の 爰(こゝ)に及(およ)ぶ。しかれども父(ちゝ)の仇(あだ)を討(うた)んがため。拠(よんどころ)なく偽(いつはり)を以(もつ)て其仇(そのあだ)を知(し)る事(こと)。 其(その)辛苦(しんく)純孝(じゆんこう)を感(かん)ずるが故(ゆへ)願(ねがひ)のごとく宿志(しゆくし)を果(はた)さしめたり。しかれども其(その) 計略(けいりやく)。小童(わらべ)には似気(にげ)なき大胆(だいたん)。このまゝに成長(ひとゝ)ならば。己(おのれ)が才(さい)にて終身(しうしん)を 全(まつとふ)する事/難(かた)からん。不如(しかず)。出家(しゆけ)入道(にうだう)して。深(ふかく)仏門(ぶつもん)に帰入(きにう)し。堅(かた)く五戒(ごかい)を保(たもち) なば。却(かへつ)て後栄(ごゑい)有(ある)べきぞ。構(かまへ)て俗間(ぞくかん)に交(まじは)るべからずと。厚(あつく)教諭(けうゆ)なし 給ひ。猶(なほ)十/両(れう)の金(こかね)を与(あた)へ。幼(おさな)ふして父(ちゝ)が仇(あだ)を復(かへ)せし。孝義(かうぎ)の褒美(ほうび)として賜(たまは)りけ れば。小次郎は難有(ありがたき)の余(あま)り。落涙(らくるい)ながらに頂戴(てうだい)し。軈(やが)て公庁(こうてう)を退(しりぞ)かんと