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その死体(ありさま)を検察(ぎんみ)せしめ。射込(いこみ)し箭(や)を取(とり)よせ其時(そのとき)のさまを聞(きく)と等(ひと)
しく。對馬前司氏信(つしまのぜんじうちのぶ)に命(めい)じ。諏訪刑部左衛門入道(すはぎやうぶざへもんにうだう)を召捕(めしとら)しめて。
糺問(きつもん)させらる。氏信(うちのぶ)さま〴〵賺(すか)しこしらへ。其(その)実蹟(じつせき)を索(さぐる)といへど。刑部(ぎやうぶ)入道
更(さら)にこれをしらず。殊(こと)に昨(さく)十六日は。平内左衛門尉俊職(へいないざゑもんのぜうとしもと)。牧(まき)左衛門/入道等(にうだうら)
私宅(したく)にて酒宴(しゆゑん)物語(ものがたり)して。一切(いつせつ)他(た)に出(いで)申さず。いかでか此事(このこと)に。不審(ふしん)を
蒙(かうふ)る筋(すぢ)これ無(なし)と。両人(れうにん)を証拠(しやうこ)とす。仍之(これによつて)両人(りやうにん)をも召(めし)て問(とは)るゝに。相違(さうい)
あらじ。某等(それがしら)。未刻(ひつじのこく)より参集(さんしう)して。戌刻(いぬのこく)に退出(たいしゆつ)せし趣(よし)を申。たしかに
証人(せうにん)に相(あひ)たちければ。是非(ぜひの)決断(けつだん)なしがたく。此趣(このおもふき)を時頼(ときより)に申す。時頼(ときより)打(うち)
点頭(うなづき)。則(すなはち)刑部(きやうぶ)入道/壱人(ひとり)を。閑所(かんじよ)へ招(まね)き蜜(ひそか)【密ヵ】に申さるゝは。今般(こたび)伊具入道(いぐのにうどう)
が横死(わうし)によつて。貴辺(きへん)の心労(しんろう)左(さ)ぞあらん併(しかし)ながら。兼(かね)ての遺恨(いこん)を一箭(いつせん)に
晴(はら)し。本懐(ほんくはい)察(さつ)し入所(いるところ)なり。尤(もつとも)氏信(うぢのぶ)にさま〴〵陳(ちん)じ申さるゝ由(よし)。仮初(かりそめ)の行(ゆき)
違(ちがひ)に。矢束(やつか)の延(のび)たると射様(ゐざま)の結構(けつこう)。今(いま)天下(てんか)弓取(ゆみとり)多(おほ)しといへども。貴辺(きへん)