Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション3

. Japonais 180-181 - 翻刻

. Japonais 180-181 - ページ 202

ページ: 202

翻刻

伊具(いく)と諏訪(すは)。幾程(いくほど)なく確執(かくしつ)を生(せう)せん。朕(われ)其/争根(もと)を尋(たづぬる)に。近頃(ちかきころ)より 雪(ゆき)の下(した)に母子(ぼし)住(すめ)る。松寿(せうじゆ)といへる白拍子(しらびやうし)あり。彼(かれ)原(もと)は京方(みやこかた)より来(きた)る。 其(その)風姿(すがた)容貌(かたち)十人(ひと)に冠(まさ)る故(ゆへ)に。武家(ぶけ)町家(てうか)のわかちなく。招(まね)きに応(わう)じ。 歌舞(かぶ)をなして酒興(しゆけう)を添(そゆ)る。刑部(きやうぶ)左衛門これに懸念(けねん)し。度々(たひ〴〵)迎(むか)へて酌(しやく)を とらせ。又/国宝(きん〴〵)を散(さん)じて。終(つひ)に枕席(ちんせき)を交(まじ)へ一向(ひたすら)に最愛(さいあい)す。然(しか)るに伊具(いぐの) 四郎も。又(また)松寿(せうしゆ)を愛(あい)して。度々(どゝ)館(やかた)に迎(むか)へて。財(さい)を積(つん)で密会(みつくはい)す。其後(そのゝち) 諏訪入道(すはうにうたう)が始末(こと)を聞(きゝ)て。恋情(つながるゑん)を断(きる)べきなるを。却(かへつ)て諏訪(すは)を廃(はい)せし めて。己(おの)が物(もの)とせんと。猶(なほ)財宝(さいはう)を抛(なげうつ)て。彼(かの)母子(おやこ)が心を誘(さそ)ふ。もとより財(ざい)の ために艶(ゑん)を献(けん)ずる遊女(うかれめ)なれば。伊具(いぐ)を厚(あつ)くして。諏訪(すほう)に疎(うと)し。刑部(きやうぶ) これよりして。伊具(いぐ)に遺恨(いこん)を挟(はさ)み。其間(そのあいた)疎遠(そゑん)なり。こゝを以て確執(くはくしつ) あらん事を知(し)ると告(つげ)給ひしが。終(つひ)に明察(めいさつ)に遠(たが)【「遠」は「違」ヵ】はで事(こと)こゝにおよぶ。これ 君禄(くんろく)をはみて君忠(くんちう)を忘(わす)る。いかでか助命(じよめい)の便(たより)あらんと。予(あらかし)め時頼(ときより)の明(めい)