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給ひ。二代将軍(にだいしやうくん)と崇(あが)め奉(たてまつ)り。いまだ御若年(ごじやくねん)に在(まし)ませばとて。北条相模守時政(ほうでうさがみのかみときまさ)
執権職(しつけんしよく)となつて。天下(てんか)の政道(せいとう)を掌握(しやうあく)し。其(その)権勢(けんせい)已然(いせん)に十倍(じうばい)して。大名小名(だいめうせうめう)
誰(たれ)あつて肩(かた)を比並(ならふる)なく。馬前(はぜん)の塵(ちり)を払(はら)はん事(こと)を願(ねが)ふ。実(げに)も弁財尊天(へんざいそんてん)の
御/示現(じけん)有(あり)し。武運(ふうん)開発(かいほつ)の時(とき)今(いま)こゝに到来(とうらい)と。時政/心中(しんちう)に歓喜(ぐわんき)の眉(まゆ)をそ開(ひらき)ける
比企(ひき)判官(はんぐわん)叛逆(ほんぎやく)頼家卿(よりいへけう)落飾(らくしよくの)話(こと)
左近衛中将頼家(さこんゑのちうせうよりいえ)卿。既(すで)に二代の将軍(しやうぐん)に任(にん)ぜられ。惣追捕使(さうつひふし)を職(つかさとり)せ給ふ
といへども。未(いまだ)御若年(ごちやくねん)とは謂(いひ)ながら。先君(せんくん)には聊(いさゝか)も似(に)させ給はず。文武(ぶんぶ)の道(みち)に
疎(うと)くまし〳〵。天下(てんか)の政治(せいじ)は一円(いちゑん)時政(ときまさ)にうち任(まか)せ。昼夜(ちうや)酒宴(しゆえん)遊楽(ゆふらく)を事(こと)とし。
諸侯(しよこう)および万民(ばんみん)の患苦(くわんく)はいさゝかも知(しらせ)給はず。殊(こと)に女色(ぢよしよく)を好(この)みて。四民(しみん)を撰(えら)は
ず。人(ひと)の令娘(むすめ)或(あるひ)は妻室(さいしつ)といはず。容色(ようしよく)心(こゝろ)に叶(かなひ)たるを宮中(きうちう)に奪入(うはひいれ)。剰(あまつさ)へ安達(あたち)
弥(や)九郎/景盛(かけもり)が最愛(さいあひ)の妾(せう)を。謀(はかつ)て宮中(きうちう)に入(いれ)て帰(かへ)し給はず。万(よろづ)正道(せうだう)に戻(もと)り
給ふ故(ゆゑ)にや。鎌倉(かまくら)に種々(しゆ〴〵)怪異(けゐ)とも有(ある)が中(なか)にも。鶴岡八幡宮(つるがおかはちまんぐう)の鳩(はと)。数十羽(すじつぱ)