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顔色(がんしよく)を正(たゞ)し。理非明白(りひめいはく)に述(のべ)畢(おは)れば。四郎/忠常(たゞつね)手(て)を拍(うつ)て。爾也(しかなり)〳〵某(それがし)が臆(おく)
念(ねん)と。符節(ふせつ)を合(あは)せたるが如(ごとく)なり。此上(このうへ)は貴老(きろう)密(ひそか)に北条亭に行向(ゆきむかい)ひ時政に告(つげ)て
商議(せうぎ)あるべし。我(われ)も同道(どう〳〵)なさんなれど。他(ひと)の見聞(けんもん)も憚(はゞかり)あれば。後日(ごじつ)行(ゆい)て計謀(ことをはか)るべし
とて。義盛(よしもり)壱人(いちにん)深更(しんかう)に忍(しの)びて北条が館(やかた)にいたり。時政に密旨(みつじ)を告(つ)ぐ。時政
義盛(よしもり)が手(て)を執(とり)て拝謝(はいじや)し。貴老(きろう)が老実(らうじつ)にあらずんば。時政いかて生(しやう)を得(う)べき。最(もつとも)
先刻(せんこく)尼御台(あまきみ)より。頼家(よりいへ)密(ひそか)に親宗(ちかむね)を以(もつ)て。直書(じきしよ)を何方(いづかた)へか遣(つかは)し給ふ。其(その)趣意(おもふき)
更(さら)に別(わき)がたしと雖(いへど)も。察(さつ)する処(ところ)当家(たうけ)氏族(しぞく)に事あるべし。由断(ゆだん)あるべからずと知(し)
らせ給へり。されども其/結構(けつこう)別(わか)り難(がた)かりしに。今/其(その)実(じつ)を得(え)て歓喜(くわんぎ)に堪(たへ)ずと。これ
より義盛(よしもり)と額(ひたゐ)を合(あは)せ。膝(ひさ)を重(かさ)ね。密談(みつだん)既(すで)に鶏鳴(けいめい)におよべば。義盛/一先(ひとまづ)帰宅(きたく)せり
忠常舎弟麁忽亡仁田家名話(たゞつねがしやていそこつにつたのかめいをほろぼすこと)
斯(かく)て翌朝(よくてう)時政(ときまさ)より。忠常(たゞつね)に使節(しせつ)ありて。比企能員(ひきよしのぶ)を亡(ほろぼ)せし。其(その)恩賞(おんせう)を行(おこな)はん
に託(たく)して。別館(べつくわん)名越(なこし)の亭(てい)へ招(まね)かる。忠常(たゞつね)は思ひ設(まう)くる処(ところ)なれば。使節(しせつ)に応(わう)じて