Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション3

. Japonais 180-181 - 翻刻

. Japonais 180-181 - ページ 50

ページ: 50

翻刻

亭(てい)へ参(まゐ)る。しかるに既(すで)に。其日(そのひ)申(さる)の刻(こく)にいたると雖(いへど)も退出(たいしゆつ)なし。従者等(じうしやら)余(あま)りの 遅刻(ちこく)に不審(ふしん)なし。館(やかた)の容静(やうす)を伺(うかゝ)ふに。何(なに)とやらん騒々敷(さう〴〵しく)。役所(やくしよ)々々(〳〵)には。甲(かつ) 冑(ちう)剱戟(けんげき)を取散(とりちら)し。弓(ゆみ)おし張(はり)箭根(やのね)を磨(みが)き。今(いま)も出陣(しゆつぢん)なさんありさまに。従卒(じうそつ) ます〳〵怪(あや)しみ。密(ひそか)に人(ひと)を馳(はし)らして。忠常(たゞつね)が舎弟(しやてい)に此よしを告(つ)ぐ。忠常が舎弟(しやてい)五郎 なるもの。元来(もとより)気早(きばや)の生質(うまれ)なるが。いかゝ心得(こゝろえ)たりにけり。大に驚(おどろ)き且(かつ)怒(いか)り。扨(さて)は昨日(きのふ) 御所(ごしよ)よりの内命(ないめい)。時政(ときまさ)早(はや)くこれを知(しつ)て。能員(のぶかず)【よしかずヵ】がごとく忠常(たゞつね)をも。透(すか)し招(まね)きて 切害(せつがい)したりと覚(おほ)ゆるぞ。其上(そのうへ)出張(ではり)の設備(やうい)とり〳〵なる社(こそ)。当家(たうけ)に押(おし)よせ一類(いちるい) の。根(ね)を枯(から)さんとの結構(けつこう)ならん。此上(このうへ)は舎兄(しやけい)の冥魂(めいこん)を弔(とふら)ひのため。北条の類族(るいそく) 壱人(いちにん)なりとも打取(うちとつ)て。同(おな)じ黄泉(くわうせん)に追付(おひつか)んと。武具(ものゝぐ)とつて一縮(いつしゆく)し。次男(じなん)六郎/諸(もろ) とも。奔馬(ほんば)に鞭打(むちうつ)て。江馬(えま)が館(やかた)に馳向(はせむか)ふ。家子郎等(いへのこらうどう)これを見て。主(しう)を討(うた)せて安穏(あんおん) なるべきと。我(われ)も〳〵と得(え)もの引(ひつ)さげ。都合(つがう)上下(しやうげ)三十四人/江馬(えま)が館(やかた)に乱入(らんにう)し。表(おもて) の侍(さふらひ)三五人。有無(うむ)の対談(たいわ)にも及(およ)ばずして切捨(きりすて)たり。江馬が家臣等(かしんら)これを見て。