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覧(らん)蔽(おほ)ひがたく。禅師公暁(ぜんじくげう)の所為(しわざ)なりと。異口同音(いくどうおん)に申せしかば。三浦義村(みうらよしむら)
が臣(しん)。長尾新六定景(ながをしんろくさだがけ)。忍(しの)び〳〵に穿鑿(せんさく)するに。天網(てんまう)終(つひ)に遁(のが)れなく。翌日(よくじつ)
雪(ゆき)の下(した)にて出会(いであひ)。定景(さたかげ)公暁(くげう)を討(うち)奉る。鳴(あゝ)哉/頼朝卿(よりともけう)より三代(さんだい)にして。源家(けんけ)
の正統(せうとう)わづか四十年/已(すで)に血統(けつとう)こゝに絶(せつ)す。可惜(おしむへし)可悲(かなしむべし)。これによつ営中(ゑいちう)
には諸臣(しよしん)等しば〳〵評議(ひやうぎ)をなして。都(みやこ)関白(くわんばく)左大臣/道家公(みちいへこう)の公達(きんだち)三虎公(さんとらこう)。
いまだ弐/歳(さい)に成(ならせ)給ふを迎(むか)へて。四代将軍/頼経公(よりつねこう)と仰(あふ)ぐ。此(この)公(きみ)と申は。故(こ)頼(より)
朝卿(ともけう)の姉君(あねぎみ)。中納言/能保卿(よしやすけう)へ入輿(じゆよ)し給ひ。其(その)御腹(おんはら)に生(うま)れ給ふ姫君(ひめきみ)を。後京極(ごきやうごく)
摂政(せつせう)良経公(よしつねこう)の北(きた)の方(かた)と成(なし)給ひ。左大臣/道家公(みちいへこう)を生(うみ)給ふ。故(かるがゆへ)に外戚(くわいせき)ながら
御血筋(おんちすぢ)なるがゆゑ也けり。いまだ御幼稚(ごやうち)にましませば。尼御台(あまみだい)簾中(れんちう)に出(いで)て
天下(てんか)の政道(せいだう)を聞(きゝ)たまひ。簾外(れんぐわい)には。執権(しつけん)義時(よしとき)同/泰時(やすとき)等(ら)。北条/一族(いちぞく)補佐(ほさ)
なすが故。自(おのづ)から北条が権威(けんゐ)天下にはびこり。富貴(ふうき)繁昌(はんじやう)この時(とき)にして武(ふ)の勢(いきほ)ひ
日々(にち〳〵)に盛(さかり)に。文(ふん)の威(ゐ)は月々(つき〳〵)に衰(おとろ)へ奢侈(しやし)驕慢(けうまん)の心(こゝろ)より。院旨(いんし)勅命(ちよくめい)をも拒(こは)み