Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション3

. Japonais 180-181 - 翻刻

. Japonais 180-181 - ページ 60

ページ: 60

翻刻

ます〳〵北条が権勢(けんせい)凄(すさま)じく。既(すで)に天下は。義時(よしとき)一人に帰(き)するが故(ゆへ)に。傍若無人(はうじやくぶしん) の事(こと)とも有(あり)て。恨(うらみ)を含(ふく)み。拳(こぶし)を握(にぎ)る者(もの)多(おほ)し。嫡子(ちやく)泰時(やすとき)これを愁(うれ)ひ。より〳〵 義時(よしとき)をいさめて。其/権(けん)を防(ふせ)ぐこと又(また)少(すくな)からず。斯(かく)て年月(としつき)を経(へ)て。元仁(けんにん)元年六月 義時(よしとき)病(やまひ)を得(え)て。医療(いれう)のしるしなく。同十三日に卒(そつ)せらる。時(とき)に六十三才。則/泰時(やすとき) 相続(さうぞく)して執権(しつけん)となり給ふ。泰時(やすとき)は父(ちゝ)には似(に)ず。内(うち)に仁智(じんち)を治(をさ)め。外(ほか)に礼譲慈(れいじやうじ) 悲(ひ)を専(もつは)らとし。日夜(にちや)治国(ちこく)の計(はかりこと)をなして。幼君(やうくん)を守護(しゆご)なし給へば。人民(しんみん)はじめて 天日(てんじつ)を仰(あふ)ぐ心地(こゝち)して。此君(このきみ)万歳(ばんせい)ととなへける。翌年(よくねん)改元(かいげん)あつて。嘉禄(かろく)元年 尼御台二位政子(あまみだいにいまさこ)の前(まへ)。仮初(かりそめ)の風(かぜ)の御心地(おんこゝち)なりしも。いつしか重(おも)らせ給ひて。七月 十一日六十九歳にして薨去(かうきよ)なし給ふ。抑(そも〳〵)頼朝卿(よりともけう)。蛭(ひる)が小島(こじま)に籏(はた)をたて。鎌倉(かまくら)に 源家(げんけ)再興(さいかう)し給ふ迄。倶(とも)に安危(あんき)を謀(はかり)給ひ。寝食(しんしよく)をだに安(やす)んじ給はず。漸(やう〳〵)天下一統(てんかいつとう) のゝち。始(はじめ)て綾羅(れうら)の茵(しとね)に起臥(おきふし)給ふ程(ほど)もなく。頼朝卿/薨(かう)じ給ひてのち。幼君(やうくん)を 補佐(ほさ)して。天下(てんか)の政事(せいじ)に御心(みこゝろ)を休(やす)め給ふ事なし。加之(しかのみならす)頼家卿(よりいへけう)。実朝公(さねともこう)。刃(やいば)の露(つゆ)