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多(おほ)かるべし。尚元(せうげん)答(こた)へて数百人(すひやくにん)なり。父(ちゝ)笑(わら)ふて曰(いはく)。いにしへ殷詰(いんきつ)といふもの
汝(なんぢ)がごとく。父(ちゝ)の病(やまひ)を訪(とむら)はんと。旧里(きうり)豫章(よしやう)に帰(かへ)るとき。送別(さうべつ)数千人(すせんにん)。其のち
殷詰(いんきつ)。帝(みかど)を諫奏(かんさう)し奉(たてまつ)りしを罪(つみ)として。官(くはん)を罷(やめ)られ旧里(きうり)に帰(かへ)るとき。
新古(しんこ)の官人(くはんにん)一人(ひとり)だに送(お)る者(もの)なしといへり。汝(なんぢ)も又(また)斯(かく)の如(ごと)し。これ汝(なんぢ)を送(おく)る
にあらず。吏部(りふ)の官(つかさ)を尊(とふと)み送(おくる)る也。必(かならす)驕慢(けうまん)すべからずといさめし也。
我(われ)も又(また)これに同(をな)じく。汝等(なんぢら)も又(また)同(をな)じ。慎(つゝしむ)べし驕(おこ)るべからずと制(せい)したまふ。
いまだ幼稚(やうち)の身(み)ながらも。父祖(ちゝぢい)の物がたり等(など)を。記憶(きゝおぼえ)得意(がてん)して。又(また)人(ひと)を
さとす事。凡俗(ほんぞく)の及(およ)ぶ処(ところ)ならずと。聞人(きくひと)恐怖(けうふ)なしたりけり
戒寿丸元服(かいじゆまるけんぶく)給(たまふ)_二諱字(いみなのしを)話(こと)
光陰如飛箭(くわういんとぶやのごとく)盈昃似奔馬(みちかけはしるうまににたり)。嘉禎(かてい)三年の陽春(やうしゆん)。将軍頼経卿(しやうぐんよりつねけう)。
已(すで)に十九/歳(さい)にならせ給ふ。元(もと)より才智(さいち)聡明(さうめい)にわたらせ給へども。流石(さすが)文(もん)
官(くはん)の家(いへ)に生(うまれ)給ふゆゑ。武門(ぶもん)の政(まつごと)【まつりごとヵ】を心憂(こゝろう)く思(おほ)し。泰時(やすとき)に悉皆(しつかい)うち任(まか)せ