Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション3

. Japonais 180-181 - 翻刻

. Japonais 180-181 - ページ 75

ページ: 75

翻刻

たゞ敷島(しきしま)の道(みち)のみ。御心(おんこゝろ)を寄(よせ)られ。月花(つきはな)はさらなり。四季(しき)折々(おり〳〵)に女房(にようばう) 昵近(ちつきん)を集(つど)へ。臨時(りんじ)の御当座(ごたうざ)。あるひは歌合(うたあはせ)等に。秀吟(しうぎん)には御褒美(ごはうび)を下(くた) され。専(もつぱ)ら和歌(わか)を詠(よま)しめ給ふ。しかるに今度(こたび)。左京権大夫泰時(さきやうこんのたいぶやすとき)が館(やかた)にて 将軍(しやうぐん)御当座(ごたうざ)あるべきよし。台命(たいめい)ありしかば。泰時(やすとき)謹(つゝしん)て御請(おんうけ)を申上。新(あら)たに 御所(ごしよ)を新造(しんざう)し。檜皮(ひはだ)ぶきの棟門(むなもん)を付(つけ)て。殿内(でんない)は金銀(きん〴〵)を以(もつ)て鏤(ちりば)め綺(き) 麗(れい)壮観(さうくはん)十分(じうぶん)を尽(つく)せり。御所(ごしよ)やう〳〵に落成(らくせい)せしかば。則四月廿二日/朝(あさ) まだきに将軍(しやうぐん)入(い)らせ給ひ。寝殿(しんでん)の南面(なんめん)にて御当座(ごとうざ)まし〳〵。次(つぎ)に管弦(くはけん) の御遊(きよゆふ)。将軍(しやうぐん)横笛(よこぶえ)を吹(ふか)せられ。能登前司(のとのせんじ)琵琶(びは)をつとめ。二条中将(にでうちうじやう) 琴(こと)を奏(さう)し。壬生(ふみの)【みふのヵ】侍従(じじゆう)唱歌(せうか)せられ。太平楽(たいへいらく)をかなずるに。笙(しやう)瑟(ひつ)律呂(りよりつ) すみわたり。心(こゝろ)なき東武者(あつまぶし)も。おの〳〵頭(かうべ)を傾(かたぶけ)ける。音楽(おんがく)了(おはり)て御宴(ぎよえん)をはじめ られ。山海(さんかい)の美味(ひみ)珍肴(ちんこう)。数(かず)を尽(つく)して奉(たてまつ)る。頼経卿(よりつねけう)殆(ほとん)と興(けう)に入(いり)たまひ 頗(すこぶ)る酔(ゑい)に和(くは)し給ふ。将軍/泰時(やすとき)を近(ちか)く召(め)され。汝(なんぢ)が嫡孫(ちやくそん)戒寿丸(かいじゆまる)。いまだ