Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション3

. Japonais 180-181 - 翻刻

. Japonais 180-181 - ページ 81

ページ: 81

翻刻

已来(いらい)此(この)故実(こじつ)を守(まも)るべしと定(さた)めたまふ。幸氏(ゆきうぢ)も面目(めんぼく)を施(ほどこ)し。それより笠掛(かさがけ) 艸鹿(くさしゝ)なんどの才覚(さいかく)。大略(たいりやく)を儀論(きろん)を做(な)す。泰時(やすとき)殆(ほとん)ど興(けう)に入(い)り。やがて帰館(きくはん)の 道(みち)すがら馬場(はゞ)の並松(なみまつ)の梢(こすへ)に。撲羽(はた)々々(〳〵)と物音(ものおと)するを。何(なに)やらんと仰(あふ)ぎ見れば。 喬木(けうぼく)の梢(こずへ)に。何地(いづち)よりか翥(それ)来(き)にけん。小鷹(こたか)一もと繳緒(へを)を枝(えだ)にまとひ。居(ゐ)もやら ず飛(とび)も得(え)ず。泰時(やすとき)はじめ宿老(しゆくらう)の面々(めん〳〵)。誰(たれ)か攀(よぢのぼ)りて渠(あれ)助(たす)けよと。侍等(さふらひら)に 命(めい)ずれど。流石(さすが)に喬木(きやうぼく)の梢(こずへ)。加之(しかのみならす)丈余(じやうよ)さし延(のべ)たる枝(ゑた)の末(すへ)なれば。登(のほ)るに危(あやふ)く 伝(つた)ふに便(たより)なし。如何(いか)にせん〳〵と憋(あせ)る後(うしろ)に。豈計(おもひもかけず)彎離(ひいふつと)。弦音(つるおと)高(たか)く一筋(いとすち)の 飛箭(や)。彼(かの)足緒(へを)をふつと射切(いきる)と見え。鷹(たか)は損(いたみ)たる体(けしき)もなく。羽(は)たゝき做(な)して 翔(とび)去りぬ。衆人(しゆじん)驚(おどろ)き後(うしろ)を見れば。射人(ゐて)はこれ別人(へつじん)ならず。五郎/時頼(ときより)弓(ゆん) 杖(つえ)突(つい)て。鷹(たか)の行(ゆく)かたを仰(あふ)ぎゐたるが。泰時(やすとき)を見て一礼(いちれい)す。泰時うれしさの余(あま)り 射(ゐ)たりや五郎(ごらう)。仕(つかまつ)りたりや時頼(ときより)と。大音(だいおん)に褒詞(はうし)すれば。衆人(しゆじん)も共(とも)に射(い)たりや〳〵と。 其(その)射術(しやじゆつ)即智(そくち)を感(かん)じける。泰時(やすとき)も心中(しんちう)に。斯(かく)ては当日(たうじつ)の流鏑馬(やぶさめ)も。やはか